2006 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分裂と細胞分化の調節における転写因子STATと低分子量G蛋白質のクロストーク
Project/Area Number |
16209032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北村 俊雄 東京大学, 医科学研究所, 教授 (20282527)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野阪 哲哉 三重大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30218309)
中島 秀明 東京大学, 医科学研究所, 特任助教授 (30217723)
川島 敏行 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10306839)
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Keywords | 転写因子 / 細胞分化 / 細胞分裂 / G蛋白質 / サイトキネシス |
Research Abstract |
本年度はSTAT3およびSTAT5活性化とRhoファミリー低分子量G蛋白質のクロストークについてさらに詳細に調べた。昨年度までに、STAT3およびSTAT5の核移行にRac1が必須であることをRac1ノックアウトの繊維芽細胞などを利用して証明していたが、本年度は生化学的手法を使って分子メカニズムを明らかにした。細胞膜を多孔化し細胞質を除いた細胞と昆虫細胞で産生した組換え型蛋白質を利用して、STAT3およびSTAT5の核移行アッセイを確立した。核移行アッセイで、リン酸化されたSTAT3/5の核移行には、活性型Rac1、MgcRacGAPおよびインポーチンαとβが必須であることが判明した。興味深いことにSTAT3/5、Rac1、MgcRacGAP複合体はRac1が活性化のときのみインポーチンαに結合する。この結果は、STAT3/5とインポーチンαの結合と解離にMgcRacGAPが深く関わっていることを示している(Kawashima et al.,J Cell Biol,2006)。我々は、MgcRacGAPに核移行シグナルが存在することも見いだした。この結果はSTAT3/5が活性化されると、MgcRacGAPおよびRac1との複合体形成が誘導され、核内に移行できるようになること、このときMgcRacGAP/Rac1が核シャペロンとして働くことを示すことによって、典型的な核移行シグナルを有さないSTAT3/5が核移行する分子メカニズムを明らかにした。一方、MgcRacGAPはJAK2にも結合することを明らかにした。また、IL-3依存性Ba/F3において、MgcRacGAPあるいはRac1をノックダウンすると、STAT3/5の核移行は完全に阻害されたが、同時にSTATのリン酸化も弱くなった。これらの結果はMgcRacGAPとRac1がSTAT3/5の核移行のみではなく、細胞膜への移行と活性化にも関与していることを示唆している。
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Research Products
(6 results)