2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16209038
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高山 忠利 日本大学, 医学部, 教授 (30280944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幕内 雅敏 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60114641)
井上 和人 日本大学, 医学部, 助教授 (00372996)
山崎 慎太郎 日本大学, 医学部, 助手 (20409014)
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Keywords | 肝再生 / 骨髄幹細胞 / 分化誘導 / ケモカイン / Gene Chip |
Research Abstract |
我々は肝切除の刺激により骨髄のある分画の細胞が肝細胞などの内胚葉系の細胞にmRNAレベルではあるが分化が開始する事を発見した。骨髄中AFPのmRNAに着目し、これが、高発現する分画は骨髄中のどの分画に存在するかをFACSにより細胞を表面マーカー別に分離し検討した。その結果Lin-、CD34+、CD45+、CD49f+、c-kit+、Sca-1+の分画に存在することが示唆された。AAF/PHx(70%肝切除)群ではPHx群に比べて有意に、AFPやHNFなどの遺伝子群が骨髄細胞に誘導されるのは、肝臓で産生される何らかの液性因子が関与しているものと推定されるが、どのような因子が関与しているかを明らかにするために、AAF/PHx群とPHx群の肝臓における遺伝子発現を現在マイクロアレイを用いて網羅的に解析している。 その結果現在、TNFやIL-6で誘導されるCXCケモカインや炎症性蛋白、CXCケモカインによって遊走してきた免疫系の細胞に特異的に発現する遺伝子群がAAF/PHxの肝臓で発現が誘導されることが判明している。 このメカニズムを明らかにするために、AAF/PHx群とPHx群の肝臓の遺伝子発現プロファイルの差を、Affymetrix Gene Chipにて解析した。AAF/PHx2日目にPHxに比べて5.7倍(log ratio>2.5)以上に発現している遺伝子が28個同定された。そのうち半数以上の遺伝子が、TNFαあるいはIL6によって誘導される、ケモカインや、acute phase proteinであった。近年、炎症性ケモカインが肝の再生を促進する働きがあることが報告されており、ケモカインは、マクロファージやモノサイトといった炎症性細胞のみならず生体内のさまざまな細胞に対する多岐にわたる作用が明らかになってきた。本研究において同定されたケモカインは肝再生のみならず、骨髄細胞を肝細胞に分化させる働きがあると推測され、肝不全治療の有力な候補になりうると考えられる。最後に、それぞれのケモカインの作用をブロックするアンタゴニストの投与やステロイドによるケモカインの抑制により骨髄の遺伝子変化に影響があるかどうかを調べている。
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Research Products
(62 results)