2004 Fiscal Year Annual Research Report
周術期ストレスによる遺伝子発現変化の検索とその臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
16209046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福田 和彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (90199224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
難波 恒久 京都大学, 医学研究科, 助手 (30283609)
正田 丈裕 京都大学, 医学研究科, 助手 (60335263)
辻川 洋 京都大学, 医学研究科, 助手 (20362501)
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Keywords | 下垂体 / プロオピオメラノコルチン / リンパ球 / 麻薬 / 低酸素 / 静脈麻酔薬 / 亜硝酸薬 / ノシセプチン |
Research Abstract |
麻酔科領域で用いられている薬物の薬理作用において、遺伝子発現の変化が果たす役割について検討することを目標として研究を行い、以下の知見を得た。 下垂体前葉由来培養細胞にプロオピオメラノコルチン(POMC)のプロモーターとluciferase遺伝子を連結したDNAを導入した細胞株を用いて、各種薬物によるPOMC発現調節を検討した。ドパミン受容体拮抗薬であるdroperidolはドパミン非存在下でもPOMC発現を抑制し、inverse agonist活性を有することが示唆された。チロシンキナーゼ阻害薬であるgenisteinはPOMC発現を著明に増強するが、その作用はチロシンキナーゼ阻害作用とは無関係で、細胞内cyclic AMPの増加によることが示唆された。 麻薬による免疫抑制の機序を明らかにすることを目的に、Tリンパ球にモルヒネを作用させることによりmRNA発現が増加あるいは減少する遺伝子を同定し、現在その確認と発現変化の意義を明らかにするための実験を行っている。同様の研究を神経由来培養細胞等でも開始する予定である。 遺伝子発現を伴う低酸素応答に関与する転写因子hypoxia-inducible factor1(HIF-1)の活性に及ぼす薬物の影響を検討し、静脈麻酔薬propofolと亜硝酸薬sodium nitroprussideは異なる機序によりHIF-1活性を抑制し、低酸素によって惹起される遺伝子発現を抑制することが明らかになった。 オピオイドペプチドに相同性を有するノシセプチンは、侵害受容、ストレス反応に関与することが示されているが、生理的機能は未解明の部分が多い。ノシセプチン欠損マウスを用いた研究により、ノシセプチン系は揮発性麻酔薬の麻酔作用には関係しないことが明らかになった。
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Research Products
(3 results)