2005 Fiscal Year Annual Research Report
チャネルタンパク質の動態・構造と麻酔の作用メカニズム-個体と分子の統合に向けて-
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16209047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真下 節 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60157188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澁田 達史 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20324767)
佐甲 靖志 大阪大学, 生命機能研究科, 助教授 (20215700)
柳田 敏雄 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (30089883)
田中 良晴 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (60236651)
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Keywords | キセノン / 亜酸化窒素 / 脊髄後根 / NMDA受容体 / NGF / 受容体 / 蛍光色素 / クラスター |
Research Abstract |
1)脊髄レベルにおけるNMDA受容体およびnon-NMDA受容体に対するガス麻酔薬、キセノンと亜酸化窒素の作用の比較検討 新生ラットの脊髄標本を用いて、脊髄後根を電気刺激して前根より記録される遅発性前根電位からガス麻酔薬のNMDA受容体に対する抑制作用を調べた。脊髄後根の刺激によって前根より単シナプス反射(MSR)および遅発性前根電位(sVRP)が出現する。実験の結果、キセノンと亜酸化窒素は共に単シナプス反射を抑制し、伝達をシナプス前・後で抑制することが示唆された。また、キセノンは亜酸化窒素よりもsVRPの早期成分および後期成分を共に強く抑制することが明らかになった。sVRPの早期成分はNMDA受容体を介した伝道で、sVRP後期成分はサブスタンスPによる伝達を反映すると考えられていることから、キセノンのNMDA受容体に対する抑制作用が亜酸化窒素より強いことが示唆される。これらの脊髄レベルでの実験結果はアフリカツメガエルの卵母細胞に発現させたNMDA受容体を用いた実験結果とよく一致していた。また、これらの結果はキセノンや亜酸化窒素などのガス麻酔薬が強い鎮痛作用を有するというin vivoおよび臨床的観察とよく一致している。 2)膜受容体を介したシグナル伝達に関与するタンパク質の動態変化の解明と麻酔薬の作用-蛍光色素Cy3標識神経成長因子(NGF)の1分子レベル可視化を用いた研究- この研究は本研究計画前から引き継いできた研究である。蛍光色素Cy3で標識されたNGFを全反射顕微鏡を用いて1分子単位で観察し、NGF分子と細胞膜上の受容体との結合過程を調べた。細胞膜上の受容体と結合したNGF分子はブラウン運動をするが、1個のNGF分子の運動には拡散係数が大きさの異なる2種類のフェーズがみられた。拡散係数が小さなフェーズではCY3NGF分子が他の分子と衝突しダイマーを形成することが多く、蛍光強度の段階的な増大が観察された。また、1つのCy3NGF分子が複数回にわたって異なる分子とダイマーを形成する過程もみられた。さらに、十数分子のNGFが数秒にわたってクラスターを形成することが観察された。微分干渉像と蛍光像の同時観察から、このクラスター細胞体とラメリボディアの基部との間に多く形成され、ラメリボディアの進展収縮運動に関係なく停滞していることが明らかになった。以上により、NGFが結合した後の受容体の運動パターンには複数の状態があり、これによって細胞のさまざまな応答を制御している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)