2006 Fiscal Year Annual Research Report
チャネルタンパク質の動態・構造と麻酔の作用メカニズム-個体と分子の統合に向けて-
Project/Area Number |
16209047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真下 節 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60157188)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋田 達史 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20324767)
佐甲 靖志 大阪大学, 生命機能研究科, 助教授 (20215700)
柳田 敏雄 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (30089883)
田中 良晴 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (60236651)
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Keywords | GABAA受容体 / 脊髄膠様質ニューロン / パッチクランプ法 / 抑制性後シナプス微小電流,mIPSC / プロポフォール / ミダゾラム / 全身麻酔 / 侵害受容 |
Research Abstract |
麻酔状態でみられる不動化現象は主に脊髄の運動ニューロンおよび侵害受容伝達系の脊髄膠様質(SG)ニューロンに対する麻酔薬の抑制効果によってもたらされる。しかし、SGニューロンにおけるGABA介在性抑制性後シナプス電流に及ぼす全身麻酔薬の効果については未だ明らかにされていない。そこで、これまでにGABAA受容体チャネルに対して賦活作用が報告されている静脈麻酔薬プロポフォールとミダゾラムのGABAA介在性抑制性後シナプス微小電流(mIPSC)に対する効果を検討した。 3-6週齢のddYマウスより脊髄スライス標本を採取し、テトドロトキシンとストリキニン処理下にパッチクランプ法によりSGニューロンのGABAA受容体介在性mIPSCを測定した。自発的なGABAA受容体介在性mIPSCは、波形減衰速度と麻酔薬感受性により減衰速度が遅いmIPSCslowと減衰速度が速いmIPSCfastに分けられた。そして、mIPSCslowは麻酔薬によって有意に延長したが、mIPSCfastは麻酔薬によって影響を受けなかった。また、自発性mIPSCの振幅と頻度は麻酔薬によって変化しなかった。さらに、GABA誘発電流に対する麻酔薬の効果をみると、mIPSCslowニューロンではGABA誘発電流の振幅を増大させたが、mIPSCfastニューロンでは変化がみられなかった。そして、異なる減衰速度を示すmIASCの特性をさらに明らかにするためにnon-stationary noise解析を行ったところ、mIPSCslowとmIPSCfastの間には電流ピーク時の開口チャネル数と単チャネル電流量に差があることが明らかになった。一方、ルシファーイエロー染色ではmIPSCslowニューロンとmIPSCfastニューロンに形態的な差はみられなかった。さらに、SG組織を用いたRT-PCRの結果より、SGニューロンGABAA受容体チャネルタンパク質にはプロポフォールやベンゾジアゼピンに対する感受性が消失するεサブユニットが含まれることを確認した。
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