2006 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲン合成酵素を分子標的とする内分泌療法の良性疾患への応用研究
Project/Area Number |
16209049
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
生水 真紀夫 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (30226302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 正樹 金沢大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10127186)
三橋 暁 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (40302541)
碓井 宏和 千葉大学, 大学院医学研究院, 助手 (90375634)
木原 真紀 千葉大学, 医学部附属病院, 助手 (20375760)
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Keywords | アロマターゼ / 活性阻害剤 / 排卵障害 / 子宮筋腫 / 子宮内膜症 / 妊孕性 |
Research Abstract |
子宮内膜症組織に直接作用する薬剤は局所濃度を高めることでより効果を上げることができると考えられる。そこで、全身性投与にかわって内膜症局所に持続的に高濃度に作用させるためのDrug delivery systemの開発を行いアロマターゼ阻害剤投与の可能性について検討した。ヒアルロン酸ゲルを重合させこの中に薬剤を封入し、ゲルを成型してラットの実験的チョコレート嚢胞モデルに投与した。その結果、血中には全く検出されない薬剤濃度で内膜症細胞の萎縮が生じることが確認された。ついで、アロマターゼ阻害剤投与による排卵誘発法の効果と副作用に関するメタアナリシスを行った。2006年には排卵誘発効果をクロミフェンと比較したRTCが少なくとも3編報告された。排卵数はクロミフェンと同等かもしくは少なく、内膜厚は同等か若干厚くなる傾向にあった。妊娠率はクロミフェンと同等で、多胎妊娠・過剰刺激症候群などの副作用を考慮するとアロマターゼ阻害剤が選択肢の一つとなると考えられた。アロマターゼ阻害剤投与による胎児催奇形性の可能性についても文献的検討を行った。2005年に、総奇形率は上昇しないが心・骨奇形の割合が増加するとの学会報告がなされた。2006年には、アロマターゼ阻害剤とクロミフェン投与妊娠との比較が報告され、総奇形率は上昇せず心奇形の割合もむしろ低下するとされた。現時点ではアロマターゼ阻害剤の投与が心奇形など大奇形率を上昇させるとする明かな証拠はないと判断し、研究者の移転先施設(千葉大学)で、臨床研究継続申請を行い承認を得た。また、今年度は無排卵症患者に対する凍結受精卵移植周期のホルモン補充療法に変えてアロマターゼ阻害剤による胚移植の効果の検討を行った。これまでのところ、妊娠率はホルモン補充周期と同等かもしくは若干良好で患者のコンプライアンスと経済性の面で明らかにホルモン補充療法を上回っていた。
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Research Products
(8 results)