2004 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制に関与するクロマチン転写制御機構と口腔癌における制御異常
Project/Area Number |
16209054
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
池田 正明 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20193211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 やよい 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (00202903)
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Keywords | 口腔癌 / アポトーシス / p53 / 癌抑制遺伝子 / クロマチン構造変換 / E2FBP1 / DRIL1 / 核マトリクス / 細胞増殖 |
Research Abstract |
口腔領域に原発する扁平上皮癌(口腔癌)においては、p53の変異が高頻度で検出されている。本年度は、癌抑制に関与するクロマチン構造変換と核マトリクス相互作用の分子機構を明らかにするため、p53の転写制御機構における核マトリクス結合因子E2FBP1/DRIL1の役割の解析を推進するとともに、癌の遺伝子治療において問題となっている癌細胞におけるp53抵抗性獲得の機序について口腔癌細胞株を用いて検討した。 (1)その結果、ゲルシフト法、クロマチン免疫沈降法およびレポーターアッセイにより、p53標的遺伝子の1つであるp21のプロモーター領域のE2BP1/DRIL1結合DNA配列を同定した。結合配列への変異導入およびshRNAを用いた実験により、E2BP1/DRIL1がp53によるp21遺伝子の発現誘導に必須であることを明らかにした。 (2)さらにアポトーシス誘導に関与するその他のp53標的遺伝子のプロモーターにもE2BP1/DRIL1結合DNA配列を見出した。定量RT-PCR法で解析した結果、E2BP1/DRIL1はp53と相乗的に働いてそれらのp53標的遺伝子の発現を誘導した。そこでE2BP1/DRIL1とp53を癌細胞に導入したところ、p53単独の場合と比べアポトーシス誘導が著しく亢進されることがわかった。現在、E2BP1/DRIL1とp53の協同作用の分子機序をp53の翻訳後修飾におけるE2BP1/DRIL1の役割に焦点を当てて検討を続けている。 (3)DNAマイクロアレイを用いて、E2BP1/DRIL1の過剰発現により誘導される遺伝子群を解析した結果、p53の過剰発現の場合と共通した遺伝子が活性化されることがわかり、現在、詳細な解析を続けている。 (4)p53抵抗性獲得の機序を検討した結果、p53耐性の口腔癌細胞株においてアポトーシス誘導に重要であるp53のセリン46のリン酸化がおこらないことを見出した。そこでセリン46をアスパラギン酸に置換したリン酸化型p53変異体を作成し、HSC-3細胞に導入した結果、アポトーシスが誘導されることを示した。以上の結果から、p53のセリン46リン酸化異常が口腔癌のp53に対する抵抗性の獲得に関与していることを明らかにした(投稿中)。
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Research Products
(4 results)