2007 Fiscal Year Annual Research Report
新生殖医療に起因する国境を越えた社会・文化的諸問題の実証的研究
Project/Area Number |
16251009
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
上杉 富之 Seijo University, 文芸学部, 教授 (00250019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 理 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70176212)
出口 顕 島根大学, 法文学部, 教授 (20172116)
鈴木 七美 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 教授 (80298744)
宇田川 妙子 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 准教授 (90211771)
清水 清美 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 講師 (70323673)
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Keywords | 新生殖(医療)技術 / 不妊治療 / 越境 / 社会 / 文化 / 文化人類学 / 国際養子 / 実証的研究 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1)新生殖医療(生殖補助医療)技術の実用化にともなって国境を越えて生じつつある社会・文化的諸問題の実態を海外及び日本でのフィールド調査に基づいて実証的に明らかにすることと、2)新生殖医療が親子や家族、身体観や生命観などに及ぼす社会・文化的:影響を包括的に考察し、最終的には、3)「生殖革命」時代に対応し得る新たな社会・文化理論の構築を行うことにあった。 以上の目的を達成するために、本研究の最終年度に当たる平成19年度(2007年度)は、まず、各研究分担者が国境を越えて実施される生殖医療の実態に関する補充調査を行った。その際、これまでの調査研究から明らかになったきわめて特徴的な社会・文化現象、すなわち生殖補助医療の越境現象とともに顕著となっている国際養子縁組の問題等に焦点を当てた。石原理と出口顯は、スウェーデンにおいて不妊治療のグローバル化とその代替策としての国際養子について調査を実施した。また、鈴木七美はフランス・スイス・デンマークにおいて、洪賢秀は韓国において生殖医療と国際養子に関する調査を行った。研究協力者の中村八重(韓国世明大学校)は韓国において生殖医療の代替としての養子縁組について、村松彰子(成城大学大学院生)は沖縄において伝統的な生殖観・家族観に関する調査研究を実施した。一方、上杉富之と廣野喜幸、宇田川妙子、清水清美らは長期の調査は実施せず、これまでに収集した調査研究資料等を比較検討し、総合的に分析することを試みた。そして、先端的な生殖補助医療の進展とともに進行しつつある親子・家族・婚姻関係の変化や身体観・生命観に関する新たな理論の構築を試みた。その中でも、研究代表者である上杉富之が展開する新生殖医療時代の親子・家族・婚姻関係の変化に関する議論、すなわち一元論的関係性から多元論的関係性への変化の議論はきわめて独創的であり、特筆に値する。
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Research Products
(17 results)