2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16251011
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
松本 亮三 東海大学, 文学部, 教授 (20114655)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 玲子 東海大学, 文学部, 助教授 (50287041)
内田 晴久 東海大学, 教養学部, 教授 (50232856)
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Keywords | 中央アンデス / カイェホン・デ・ワイラス / ケウシュ遺跡 / チュルパ / 中期ホライズン / 後期中間期 / ワリ / チムー |
Research Abstract |
平成18年度における本調査の主要な活動は、8月〜9月に、ワラス市北方のケウシュ(Queushu)遺跡において行った発掘調査である。2004年度まで行ってきたヤンガヌーコ遺跡の西南方に位置する本遺跡は、海抜3500mのケウシュ湖を囲んで広がり、中心部はその南半分、約600m四方を占める。本遺跡を発掘地として選んだのは、金山開発を行ったと思われる海岸の民族と深い関係をもった祭祀・行政遺跡だと考えられたためであり、その測量と表面調査は2005年度に完了させている。今次の調査では、中心部東側に位置する高さ24mのマウンド上に位置するチュルパI(埋葬用施設であるとともに神殿としても利用されたと考えられる、基壇を伴った石造建造物で、基底部で11×15mの広がりをもつ)の基壇正面部とその付帯建築群、及び西側の建築群と、これに隣接する墓域周縁部を発掘した。 その結果、以下のことが明らかとなった。1、この遺跡の最古の居住は前期中間期(西暦紀元後300-600年ごろ)に遡る。2、チュルパIの建設時期は中期ホライズン初期ないしそれ以前である(500-600年と推定)。3、前期ホライズン〜後期中間期前期(600-1350年ごろ)において、チュルパIは土器を奉納されて崇拝され、同時に西側の建造物が作られた。4、この遺跡が居住・利用された最終期はチムー帝国期(1350から1470年)にあたる。5、ケウシュの全居住期を通して、海岸との関係が、通常の交易関係を超えて密接であったことが、出土土器から確認された。 なお、当初予定していた既発掘遺跡や周辺遺跡との比較調査、鉱物サンプルの採集と分析は、本年度は実施できなかったので、平成19年度において実施する予定である。 なお、本調査に関し、以下の口頭発表を行った。論文は4月以降発表する予定である。 "Arqueologia de Llanganuco : Resumen de las Excavaciones Arqueologicas desde el Ano 2002 al 2004. "Conversatorio Internacional de Arqueologia de Ancash II,2006年8月20日(ペルー、アンカシュ県、ワラス市、文化庁ワラス支所)。 「ペルー、カイェホン・デ・ワイラス、ケウシュ遺跡に見る海岸と高地の関係」古代アメリカ学会第11回大会、2006年12月2目(早稲田大学)。
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