2005 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカ諸国のコーヒー産地をめぐる地域経済圏に関する実証的研究
Project/Area Number |
16252005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池野 旬 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (40293930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 周平 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90170943)
辻村 英之 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (50303251)
池上 甲一 近畿大学, 農学部, 教授 (90176082)
上田 元 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教授 (10241514)
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Keywords | 地域研究 / 地域経済学 / 農村社会学 / グローバリゼーション / フェアトレード / コーヒー / 東アフリカ / 農村貧困問題 |
Research Abstract |
本年度は、タンザニア北部・中部、ルワンダ、ケニア等において現地調査を行った。中心的な調査対象地であるタンザニア北部のキリマンジャロ・コーヒー産地において複数の研究者が精力的に調査した結果、同地域全体を覆うような組織化の動向は検出できなかった。長期的なコーヒー価格下落下でコーヒー生産量が減少しているという同一の傾向を示しながらも、域内のメル山域、キリマンジャロ山域、パレ山域でそれぞれ独自の対応がなされているものと推定される。本年度第4四半期に実施した調査報告会では、以下のような動向が紹介された。野生動物の宝庫である国立公園への玄関口となっているアルーシャ市に隣接したメル山域では、3種類の対応が見られた。コーヒー生産にあまり適していない低地部では食糧作物の商品化への転換が行われており、中核的なコーヒー生産地であった中腹地帯でも蔬菜生産や酪製品への転換が進んでおり、そのような転換が行えない交通の便の悪い高地においてコーヒーへの依存度が高まりつつあった。キリマンジャロ山地域は昨年には旱魃の被害が著しく、久々のコーヒー価格の高騰を享受できない状況であった。長期的にみても、同地域の主食作物である料理用バナナを大都市に提供する農業へと転換がなされつつある。北部パレ山域においてはコーヒーに代わる有力な農産物が見あたらず、山間部のコーヒー産地では人口減少を経験しており、低地の県庁所在地の都市部を中心に展開されつつある学校・診療所建設ならびに民間住宅ブームが経済をかろうじて支えていた。また、上記の調査報告会においては、ルワンダのコーヒー産地において、分益小作制が拡大しつつあるという、今後その原因について考察する必要がある興味深い調査結果も報告された。
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Research Products
(6 results)