2004 Fiscal Year Annual Research Report
豪州Moreton湾における毒素生産シアノバクテリアの増殖メカニズムの解明
Project/Area Number |
16254001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大村 達夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30111248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 徹 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10302192)
佐野 大輔 東北大学, 大学院・工学研究科, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | 河口・沿岸域 / フミン鉄 / フミン鉄の錯平衡 / フミン物質の凝集モデル / キャラクタリゼーション / Lyngbya / 活性酸素 / 第一鉄生成速度 |
Research Abstract |
平成16年度では,まず始めに,塩濃度が顕著に変化する河口・沿岸域におけるフミン鉄の錯平衡と凝集特性を,標準フミン物質を用いた実験により明らかにした。続いて,疎水性相互作用をフミン物質の分子量及び疎水性の度合いと関連付けて定量化することで,従来のDLVO理論のみでは表現するこができなかったワミン物質間の疎水性相互作用を組み込んだ,新たなフミン物質凝集モデルを構築した。 豪州Moreton湾流域では,植生の異なる土壌及び水サンプルを採取し,フミン物質の分離・精製作業を行った。その後,炭素安定同位体比及び元素分析によりフミン物質のキャラクタリゼーションを行い,土地利用とフミン物質の性質の関連性や沿岸域に存在するフミン物質の起源の推定を行った。一方,フミン物質の起源や性質の違いが,河口・沿岸域でのフミン鉄の挙動及び鉄を利用する生物に与える影響を把握するため,河口・沿岸域条件下において,フミン第二鉄(HS-Fe^<III>)の錯形成(解離)速度と生物に最も利用されやすい形態である第一鉄(Fe^<II>)の生成速度を調べた。ここで,HS-Fe^<III>をFe^<II>に還元するため生物(Lyngbya)が活性酸素を生成する実験系をXithantine/Xithantine Oxidaseシステムを用いて再現した。その結果,DFB(細菌由来シデロフォア)などのようにFe^<III>と高い親和性を示す有機リガンドからのFe^<II>生成速度は非常に低く,反対にクエン酸のように第二鉄と弱い結合を示すリガンドはFe^<II>生成速度が高かった。一方で,無機態の水酸化第二鉄コロイドからも低い値であるが活性酸素によりFe^<II>が生成されることが分かった。 次年度は,土地利用毎のフミン物質の性質(特に酸性官能基)をさらに詳細に分析することで,Lyngbyaが利用可能な鉄であるFe^<II>の生成メカニズムとフミン物質の性質の関連性を詳細に調べる。
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