Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 雅啓 国立科学博物館, 植物研究部, 部長(研究職) (20093221)
長谷部 光泰 自然科学研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (40237996)
喜多 陽子 日本女子大学, 理学部, 学術研究員 (60345262)
西田 佐知子 名古屋大学, 博物館, 助手 (10311490)
渡辺 泰徳 立正大学, 理学部, 教授 (20112477)
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Research Abstract |
本研究の2年目となる本年は,昨年度のカメルーン,マダガスカルなどの海外調査において収集した2亜科5属40種についての分子系統解析(matK遺伝子)と比較形態形成解析を重点的に行い,それぞれの成果を2005年7月にウイーンで開かれたInternational Botanical Congress IX大会にて,2つのシンポジウム発表と2つのポスター発表にて報告した.分子系統解析からは,カワゴケソウ科では例外的に汎熱帯に分布するトリスティカ亜科のTristicha trifaliaが4つの系統群,アフリカとアメリカの共通祖先群,マダガスカルなどに生育する東アフリカ群,ガーナ群,カメルーン群,に分けられることが明らかとなり,カメルーンが起源地である可能性が示された.また形態形成比較からは,カワゴケソウ亜科の大型シュートをもつアフリカの大型種も,アジア産の小型種と同様に茎頂分裂組織を欠く事,したがって新しい葉は葉の基部から作られるが明らかとなった.これより,茎は本来の茎ではなく,葉が積み重なったみかけの茎と考えられ,カワゴケソウ亜科の一見多様な形態も,実は茎頂の退化縮小という1つの出来事に起因してもたらされたものである可能性が高くなった.茎頂の退化が,完全に茎頂の欠失をともなうのか,あるいは茎頂は葉の基部に埋没しているのか,STMとYABBY遺伝子群をマーカーに使って明らかにするべく,両相同遺伝子の単離を行った.現在は,それら遺伝子の発現をin situハイブリダイゼーション法にて,検討中である.また本年度の海外調査はタイを中心に行った.タイでは新種の発見があり,これらの成果はタイのカワゴケソウ科のモノグラフとしてまとめられ2006年in pressとなっている.さらにタイでは生理生態的な実験を生育地で行った.すなわち異なった水深に生育するカワゴケソウ科の光合成能の測定を行い,現在データを解析中である.
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