2006 Fiscal Year Annual Research Report
渓流沿い水生被子植物カワゴケソウ科の眺躍的進化機構の解明
Project/Area Number |
16255005
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
今市 涼子 日本女子大学, 理学部, 教授 (60112752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 雅啓 国立科学博物館, 植物研究部, 部長(研究職) (20093221)
長谷部 光泰 自然科学研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (40237996)
藤井 紀行 東京都立大学, 大学院理学研究科, 助手 (40305412)
西田 佐知子 名古屋大学, 博物館, 助手 (10311490)
渡辺 泰徳 立正大学, 理学部, 教授 (20112477)
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Keywords | カワゴケソウ科 / 渓流沿い植物 / 水生植物 / 形態形成 / 分子系統 / 解剖学 / ボディプラン / 進化 |
Research Abstract |
本年度は3回の海外調査を行った。2006年7月にオーストラリアのキャサリンゴージュにてTristichaを採集し、11月にタイにてDalzelllia, Terniopsisを中心に試料収集を行い、2007年2月に西アフリカのガボンにてカワゴケソウ亜科を中心に試料の収集を行った。これらについて現在、分子系統解析ならびに比較解剖学的研究を行っている。また1昨年度の調査で収集したアフリカ産カワゴケソウ亜科については2007年2月にカメルーンで行われた国際会議AETFATの「カワゴケソウ科シンポジウム」において成果を発表した。またトリスティカ亜科については、形態形成研究より、これまで茎頂分裂組織をもつシュートと考えられてきたラムリが、1個のシュートではなく、1個の複葉に相当する器官であるとする結論に至った。さらにこれまでラムリ以外には存在しないと考えられてきた茎頂構造が、小型ではあるが存在し、これが発生を通じて維持されることが示された。したがってカワゴケソウ亜科では茎頂の小型化が一層進み、組織への埋没が起こったため、茎頂が存在しないようにみえるとする考えが提唱できる。一方、分子遺伝学的解析においてはオーストラリア産Tristichaにおいてすでに単離したSTM相同遺伝子の発現を、in situハイブリダイゼーション法を用いて、茎頂をもたないCladopusについて解析した。その結果、STM相同遺伝子は葉原基全体に発現がみられることがわかった。以上から葉原基が一般の植物の茎頂的性質をもつ可能性が出てきた。また複葉の一部として本遺伝子の発現がみられるという可能性もあり、YABBY遺伝子群の発現について現在解析を進めている。また茎頂特異的に発現するWUS相同遺伝子の単離も現在進行中である。
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Research Products
(2 results)