2006 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥地耕地生態系破壊の現状解析と生物学的修復及び保全
Project/Area Number |
16255014
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
藤山 英保 鳥取大学, 農学部, 教授 (90108796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 定博 鳥取大学, 農学部, 助教授 (30200801)
山田 智 鳥取大学, 農学部, 助教授 (80294346)
岡 真理子 鳥取大学, 農学部, 講師 (20324999)
実岡 寛文 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助教授 (70162518)
増永 二之 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (10325045)
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Keywords | 塩類集積 / 塩害 / 栄養障害 / 土壌修復 / メキシコ南バハカリフォルニア / コモンドウ地域 / アッケシソウ / 拮抗作用 |
Research Abstract |
メキシコ南バハカリフォルニア州で作物に塩障害がみられるコモンドウ地域において、最も深刻なのは土壌中にナトリウムが多く集積し、土壌の高pHをもたらしていることであることがわかった。特にオレンジやマンゴーなどの果樹において微量元素の欠乏症状が現れ、生育と収量に重大な影響をおよぼしていることがわかった。 コモンドゥ地域は年平均降水量が140mmしかないため、作物栽培には潅漑が必須であり、この潅漑が土壌塩類集積をもたらしている主要な原因であることがわかった。しかしこの地域の恒常的な水不足は世界で問題となっている過剰潅漑による地下水上昇に伴うウォーターロギングが起こらない面がある一方、潅漑に伴う畦間潅漑や水盤潅漑による塩の洗脱のために表層土がソーダ質化、下層土が塩性化している実態が明らかとなった。 上記にように乾燥地では土壌塩類の集積が農業上のもっとも大きな問題である。それを修復するのに淡水による洗脱は莫大なコストと下層土の塩類集積をもたらすので、塩を効率よく吸収する植物を利用する(phytoremediation)のがコスト面、環境面で望ましい。そこで、その目的に有望であるいくつかの植物について基礎的な研究を行った。 塩類土壌修復に最も有望であると考えているアッケシソウは通常の植物の生存が不可能であるソーダ質土壌で最も良好な生育を示した。にもかかわらず体内のナトリウム含有率は10%を超え、塩を積極的に利用していることがわかった。また通常の植物が吸収する硝酸態窒素ではなく、アンモニア態窒素を積極的に吸収し、塩化物イオンと硝酸イオンの拮抗作用を回避している可能性が示唆された。さらにナトリウムによって吸収が拮抗的に阻害されるカリウムも積極的に吸収し、アンモニア態窒素同化及び窒素代謝を行うための酵素を活性化させている可能性も示された。主要な作物であるビート(サトウダイコン)はソーダ質土壌よりも塩性土壌で良好な生育を示した。 アッケシソウ、ビートは茎葉にナトリウムを多く蓄積することから収穫後畑から除去する必要がある。
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Research Products
(2 results)