2005 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキタス情報端末向け組込みプロセッサにおけるエネルギー利用効率改善に関する研究
Project/Area Number |
16300019
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 寿倫 九州大学, システムLSI研究センター, 教授 (00322298)
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Keywords | 省エネルギー / 低消費電力 / システムオンチップ / 計算機システム |
Research Abstract |
マルチコアプロセッサを検討した.電源電圧を下げることがエネルギー消費量削減に効果的であるが,性能低下を引き起こす.この損失を補うために,プログラムの実行時間に影響の無い部分のみを低速で実行する.命令流を二つに分割して実現するマルチスレッド処理である.一つは投機流と呼ばれ,プログラムの主要部分を担う.ただし,投機実行されている.もう一つは検証流と呼ばれ,投機流での投機実行が正当性を確認する目的で実行される.投機流では実行される命令数が削減されるので,エネルギー消費量も削減できる.検証流ではプログラムが低速に実行されるので,エネルギー消費量が削減される.詳細なシミュレーションの結果,エネルギー遅延自乗積を約25%削減する可能性があることが確認できた. コアプロセッサについても検討した.設計者における稀な最悪値ではなく典型値に最適化する設計を検討した.以下の二つの現象を利用している.一つは,回路のクリティカルパスが活性化されることは稀なことである.もう一つは,クリティカルパスを活性化させる入力は極めて限定されることである.言い換えると,設計時のタイミング制約を緩和させたとしても,現実には回路の動作時にタイミング違反が生じることは稀である.回路動作時の遅延ばらつきは,制御回路よりもデータパスにおいて大きくなると期待される.更に,その大きさのクリティカルパス遅延との差も,制御回路よりもデータパスにおいて大きくなると期待される.これらの考察から,典型値の利用は,制御回路よりもデータパスにおいてより効果的だと考えられる.そこで,依存関係にある複数の演算を同時に1サイクルで実行する.この結果プロセッサ性能は多いに改善されるので,性能向上を省電力の目的に利用すればエネルギー利用効率の改善が可能になる.
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Research Products
(1 results)