Research Abstract |
初年度は,SSPSへの適用を想定して,6角柱形状をもつ膜面モジュールを設計し,これをもとに全体の構築シナリオを策定するとともに,その組み立て・保守に必要な個別技術を検討した. 1)膜面テンセグリティ構造モジュールの基本設計と強度評価 モジュール構造体として,膜面展開可能なテンセグリティ構造体を考案した.この構造体は,6つのインフレータブルチューブとワイヤー,太陽電池膜面または反射面からできている6角柱状の軽量構造であり,ロボットによるハンドリングが容易なコンパクトなシェルに収納可能である.モジュールでつくられる平面構造の面外剛性を理論的に検討すると同時に,収納時直径360mm高さ120mmスケールモデルを作成して,加圧空気による展開実験を行った.膜面展開については「回転二重折りパターン」の展開力と展開率の関係を、小型の実験モデルを用いた展開実験により検討した,展開張力と展開率の関係を写真計測によって定量的に測定するとともに,ビデオ撮影によって動的な膜面展開過程を計測し,膜面の膜厚,折り目間隔,膜面半径が展開特性に及ぼす影響を明らかにした.さらに,展開力と展開率に関する相似則を膜面の大変形理論から導出した.また,これを用いて実験結果との比較検討を行い,実際の膜面における展開特性の相似則を明らかにした. 2)組み立てロボットの仕様および組み立てシナリオの検討 H-IIAロケットおよび国際宇宙ステーションISSのJEM暴露部の利用を想定した構築シナリオとして,モジュールのクラスター輸送と宇宙マニピュレータを使用した組み立てを検討した. 3)自律分散型故障領域判定手法とその評価 宇宙太陽発電用膜面トラス構造体による自己修復実現に向けて,各モジュールが自律決定エージェントとして,全構造物における故障領域と正常領域を切り分ける手法を考案し,その評価を行った.具体的には,各モジュール自らが故障しているかを判定し,故障していれば自らが他のモジュールとの接続を切り離す自己判定手法,各モジュールが隣接モジュールを判定し,故障していればその隣接モジュールを切り離す隣接判定手法を提案した。そして,100モジュールの大きさの宇宙太陽発電シミュレータを構築し,その上でそれぞれの手法の有効性を検証した.
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