2005 Fiscal Year Annual Research Report
逆遠近錯視を利用した奥行き知覚メカニズムの解明と臨床医学応用に関する研究
Project/Area Number |
16300085
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
林 武文 関西大学, 総合情報学部, 教授 (90268326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 勲 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70258078)
雨宮 俊彦 関西大学, 社会学部, 教授 (30151129)
乾 敏郎 京都大学, 大学院・情報学研究科, 教授 (30107015)
鈴木 公洋 太成学院大学, 経営情報学部, 専任講師 (00388670)
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Keywords | 視覚情報処理 / 奥行き知覚 / 逆遠近錯視 / 脳機能イメージング / 絵画遠近法 / 立体視 / 総合失調症 / 診断システム |
Research Abstract |
本研究は,逆遠近錯視を用いて人間の奥行き知覚におけるボトムアップとトップダウンの情報処理メカニズムを解明し,その結果を臨床医学における精神疾患の診断に応用することを目的としている. 平成17年度は,以下の項目に関する検討を行った. (1)fMRI計測実験 前年度の検討結果を踏まえて,今年度は被験者10名に対するfMRIデータの統計的な解析を行った.その結果,錯視の成立時には頭頂葉と前頭葉の運動野付近の活動の増加が有意であることが示され,背側経路の奥行き情報の処理を行う部位と眼球運動あるいは視覚的注意に関係する部位が関与することが明らかになった. (2)錯視強度の評価実験 錯視強度を定量的に評価する方法として,一対比較を用いた評価法を提案した.従来法(錯視が成立する視距離を調べる方法)との比較実験の結果,本手法が有効であることを確認した. (3)3次元CGとバーチャルリアリティ技術を利用した実験システムの構築 視差バリア方式のディスプレイを用い,両眼視差と錯視図形を提示するシステムを開発した.奥行き反転の生じる条件を両眼視差量で制御することが可能であることを示した. (4)精神疾患を有する被験者に対する心理実験の検討 (3)で述べた実験システムを用いて,断眠状態における被験者の奥行き反転の特性を調べた.断眠時間の経過に伴って奥行きの反転が起こり難くなることを確認し,先行研究と類似の結果を得ることが出来た.今後は,被験者数を増やして実験の精度を上げるとともに,実験装置を臨床分野で用いる場合の問題点について詰める. (5)面再構成の計算理論モデルの検討 両眼視差から奥行きを知覚する場合の内部処理のモデルの検討とランダムドットステレオグラムを用いた心理物理実験に着手した.
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