2006 Fiscal Year Annual Research Report
逆遠近錯視を利用した奥行き知覚メカニズムの解明と臨床医学応用に関する研究
Project/Area Number |
16300085
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
林 武文 関西大学, 総合情報学部, 教授 (90268326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 勲 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70258078)
雨宮 俊彦 関西大学, 社会学部, 教授 (30151129)
乾 敏郎 京都大学, 大学院・情報学研究所, 教授 (30107015)
鈴木 公洋 太成学院大学, 人間学部, 講師 (00388670)
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Keywords | 視覚情報処理 / 奥行き知覚 / 逆遠近錯視 / 脳機能イメージング / 絵画遠近法 / 立体視 / 統合失調症 / 診断システム |
Research Abstract |
本研究は、逆遠近錯視を用いて人間の奥行き知覚におけるボトムアップとトップダウンの情報処理メカニズムを解明し、その結果を臨床医学における精神疾患の診断に応用することを目的としている。 平成18年度は、以下の項目に関する検討を行った。 (1)錯視成立時の脳活動の計測 16名の被験者に対しfMRI実験を行った。奥行き反転の手掛かりを変えた逆遠近図形を提示したところ、逆遠近錯視が生じた場合には、手掛かりとは関係なく視覚野から頭頂葉に至る経路で賦活が著しく増大することが明らかになった。今後、さらに詳細な解析を行い、錯視に関与する部位を同定する。 (2)錯視成立時における眼球運動の計測 正面から見て同じ図柄が描かれた逆遠近錯視図形、正遠近図形、平板を観察した時の被験者の眼球運動をプルキンエ像方式で計測した。その結果、平面図形に比べて逆遠近図形と正遠近図形では、注視点が図形の突出点に追随することが明らかになった。今後、両図形の差異を詳細に調べるとともに、fMRI実験の結果とも比較検討する。 (3)奥行き知覚と身体動作の相互作用 対象物体に手を伸ばして把持する動作を加えた場合の影響について検討を開始した。2次元の長さに関する錯視図形を提示して、視覚表象の歪みによる把持動作の変化を調べたところ、錯視は到達動作の中間点付近まで影響を及ぼし、把持の最大開き幅が変化することが明らかになった。今後は逆遠近図形をターゲットとした実験を行う。 (4)VR技術を利用した実験システムの構築 立体映像による錯視図形の提示と立体視鏡の組み合わせにより、錯視図形を提示するシステムを開発した。本手法により従来法で統制できなかった刺激の視角を一定に保った評価実験が可能であることを確認した。本装置を利用してこれまでに開発した評価手法を用いて実際に刺激強度の評価実験を行う予定である。
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Research Products
(7 results)