2007 Fiscal Year Annual Research Report
逆遠近錯視を利用した奥行き知覚メカニズムの解明と臨床医学応用に関する研究
Project/Area Number |
16300085
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
林 武文 Kansai University, 総合情報学部, 教授 (90268326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 勲 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70258078)
雨宮 俊彦 関西大学, 社会学部, 教授 (30151129)
乾 敏郎 京都大学大学院, 情報学研究科, 教授 (30107015)
鈴木 公洋 太成学院大学, 人間学部, 講師 (00388670)
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Keywords | 視覚情報処理 / 奥行き知覚 / 逆遠近錯視 / 脳機能イメージング / 絵画遠近法 / 立体視 / 統合失調症 / 診断システム |
Research Abstract |
本研究は、逆遠近錯視を用いて人間の奥行き知覚におけるボトムアップとトップダウンの情報処理メカニズムを解明し、その結果を臨床医学における精神疾患の診断に応用することを目的としている。平成19年度の研究内容と結果は以下の通りである。 (1)fMRIによる脳活動の計測 前年度の実験で得たfMRIデータを分析し、逆遠近錯視に関与する部位と奥行き手掛かりの関係を明らかにした。その結果、錯視成立時には、BA19/39、BA37/19、BA7の各部位が活動すること、これらは奥行き手掛かりには関係なく逆遠近錯視特有の活動であることが明らかになった。また、奥行きの手掛かりが少ない場合には、前頭葉の部位の関与もあり、奥行き知覚における内部モデルに関する重要な知見を得た。 (2)両眼視差を用いた錯視強度の評価 前年度までに開発した、VR技術を用いた実験装置を利用して、恒常法と極限法による錯視の閾値を測定した。その結果、錯視成立には、奥行き反転を起こすための単眼の手掛かりが重要であり、手掛かりが増えるとともに閾値の低下が見られた。本手法は、臨床医学分野における診断用の刺激提示システムとして有効であることが示された。 (3)絵画からの奥行き知覚 トップダウンの処理に基づく奥行き知覚の特性を明らかにするため、絵画から奥行きを知覚する諸要因について心理物理学的な検討を行った。その結果、安定した奥行きの知覚には、遠近線の推定に必要な3点の位置情報あるいは物体形状の手掛りが不可欠であることが明らかになった。 (4)運動視差に基づく奥行き知覚 ボトムアップの処理に基づく奥行き知覚の特性を明らかにするため、動的なランダムドットパターンを用いた運動視差からの奥行き知覚について心理物理学的な検討を行った。その結果、運動視差に基づく単眼立体視では、両眼立体視に近い空間周波数特性をもつものの、奥行き情報そのものの知覚は不十分であり、面の補間や形状の知覚を基にした奥行き知覚がなされていることを示した。
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Research Products
(16 results)