2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳の左右差の形成機構と高次脳機能におけるその意義の解明
Project/Area Number |
16300101
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 功 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (20183741)
|
Keywords | 脳 / 右脳・左脳 / 脳の左右差 / 脳の非対称性 / 海馬 / 神経回路 / シナプス / NMDA受容体 |
Research Abstract |
1)NR2Aノックアウトマウスを用いた解析 我々は、野生型マウスを用いた薬理学的・生化学的な解析により海馬神経回路の非対称性を明らかにした。そこで、これを異なる手法を用いてさらに確認することを目的として,NR2Aサブユニットのノックアウトマウスを用いた生理学的・解剖学的な解析をおこなった。その結果、海馬錐体細胞シナプスの非対称性を再確認するとともに,介在神経細胞シナプスには非対称性が存在しないことを明らかにし、これを報告した(J.Neuroscience,25(40),9213-9226,2005)。 2)海馬スライスの組み合わせ培養系を用いた解析 脳が正常に機能し続けるためには、生涯を通じてその非対称性が維持されなければなるまい。この維持機構は、発生初期における非対称性の形成機構とは異なるものであろうか?これを明らかにすることを目的として、まず出生後のマウスの海馬神経細胞も非対称な神経回路を再生する能力があるかどうかを検討することにした。具体的には、左右の海馬から作成したスライスを、CA1野を含む領域とCA3野を含む領域に切断し、これらを再び組み合わせて培養することによってCA3錐体細胞とCA1錐体細胞の間にシナプスを形成させる。たとえば、左CA1+左CA3を組み合わせることでShaffer collateral fiberシナプスの解析が、右CA1+左CA3の組み合わせではcommissural fiberシナプスの解析が可能となる。本年度は、マウス海馬において3週間以上の組み合わせ培養が可能な技術を確立した。また機能し得るシナプスが再生されていることを生理学的に確認した。
|