2005 Fiscal Year Annual Research Report
眼球運動学習による小脳シナプスとグルタミン酸受容体数の可塑的変化と長期抑圧現象
Project/Area Number |
16300114
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
重本 隆一 生理学研究所, 大脳皮質機能研究系, 教授 (20221294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永雄 総一 理化学研究所, 脳科学研究総合センター, チームリーダー (40164397)
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Keywords | 小脳 / 運動学習 / 視機性眼球運動 / 平行線維 / プルキンエ細胞 / シナプス / AMPA型受容体 / グルタミン酸 |
Research Abstract |
昨年度までの研究で、小脳の平行線維の作るシナプスは相手がプルキンエ細胞か介在神経細胞かでAMPA型受容体の局在様式が大きく異なることが明らかとなった。今年度は平行線維シナプスで見られた受容体密度の大きなバラツキ(平方ミクロンあたりほぼ0から1000個近くまで)について、この種のシナプスの持つ高い可塑性がその原因となっていると考えられることから、実際に小脳の運動学習によってこのシナプスのAMPA型受容体の密度分布がどう変化するかを調べた。マウスの行動実験は研究分担者の永雄総一ユニットリーダー(理研)が行い、記憶が安定的に形成される視機性眼球反応学習1時間の前後で、水平性眼球運動の調節に関係している小脳片葉の中央部三分の一において多数のシナプスを定量的SDS-FRL法で解析したところ、シナプスのpopulation全体として有意なAMPA型受容体の密度の減少が認められた。このような変化は学習を行っていないコントロールマウスや学習を行った動物でも片葉からわずか0.5mm以内にある傍片葉では全く認められない。これにより生理的な小脳学習運動がグルタミン酸受容体のシナプス密度の変化によって起こっている事が初めて示された。ところが、同様の運動学習を5日間連続して行い、長期記憶を形成させたところ、驚くべきことにAMPA型受容体の密度はコントロールと同じレベルまで回復していた。しかし、これらの動物では小脳片葉の中央部三分の一におけるシナプスの数が約三分の二まで減少していることが明らかとなった。これはAMPA型受容体の密度が減少したシナプスが消失したと考えると良く説明される。今後はさらに単一プルキンエ細胞でのシナプス変化を調べる。
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Research Products
(2 results)