2006 Fiscal Year Annual Research Report
Gタンパク質共役受容体のオリゴマー形成による機能調節機構
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16300125
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
中田 裕康 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (00041830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 登紀子 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (10415531)
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Keywords | プリン受容体 / アデノシン / ATP / GPCR / ダイマー / 血小板 |
Research Abstract |
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は、神経伝達物質やホルモン、さらに多くの臨床薬と結合して細胞内にシグナルを伝達するタンパク質であり、重要な生理的機能を担う。これまで、GPCRはモノマーとしてGタンパク質と1:1で共役して機能すると考えられてきたが、最近、同種もしくは異なるGPCR間で直接複合体(ホモダイマー、ヘテロダイマー)を細胞膜上で形成することが、いくつかの受容体で報告されている。このような場合にGPCRのシグナル伝達や細胞内分布などが変化することから、GPCRの新しい多様性発現調節機構として注目されている。ここではGPCR型プリン受容体系(アデノシン受容体およびATP受容体)においてのヘテロダイマー形成の役割を明らかにするためにプリン受容体サブタイプ同士、もしくは他のファミリーのGPCRとのダイマー形成の特異性や機能について研究を行った。以下の結果を得た。(1)受容体のオリゴマー形成を直接的に観察する手段として免疫電子顕微鏡観察をおこない、受容体同士のオリゴマー形成を観察することができた、(2)アデノシン受容体は他のプリン受容体とダイマーを形成しやすい性質を持つことが示唆された。たとえば血液凝固をコントロールする血小板に存在する3種のプリン受容体であるアデノシン受容体(A_<2A>)とP2受容体(P2Y_1、P2Y_<12>)では3受容体間でのヘテロダイマーやさらにヘテロトリマーを形成する。アデノシン受容体(A_1)もA_<2a>受容体、P2Y_1、P2Y_2受容体とダイマーを形成する、(3)A_1アデノシン受容体とP2Y_2受容体を共発現させたHEK293T細胞をモデル系として用い受容体伝達機構を解析したところ、両受容体を同時に刺激した場合、A_1経由のシグナル伝達は阻害され、P2Y_2経由のシグナル伝達は促進されるという新しい調節作用を発見した、(4)これらの結果はプリン受容体ダイマー形成が細胞や組織の機能を様々に調節することを示唆する。
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Research Products
(2 results)