2006 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチンシステムがもたらす神経細胞の生存と機能発現の動的制御
Project/Area Number |
16300126
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Research Institution | National Institute of Neuroscience, National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
和田 圭司 国立精神・神経センター, 神経研究所疾病研究第四部, 部長 (70250222)
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Keywords | ユビキチン / 脱ユビキチン化酵素 / parkin / 神経細胞死 / ALS / パーキンソン病 / 受容体 / オートファジー |
Research Abstract |
本研究では、代表的蛋白質品質管理系であるユビキチンシステムを中心座標にすえ、神経細胞の生存や機能発現における新たな制御コミュニティの存在を証明する。神経伝達のみならずpostmitoticなど神経細胞の特性自体の獲得におけるユビキチンシステムの重要性につき実験的根拠を構築する。今年度はE3リガーゼの一つで若年性パーキンソニズムの原因遺伝子産物であるparkin蛋白が神経伝達物質受容体であるATP受容体(P2X)の活性を制御する作用を有することをPC12細胞で見出した。その制御にはリン酸化酵素が関与していることが明らかになった。本成果はparkinがシナプス伝達を制御する可能性を示した点で意義がある。また、脱ユビキチン化酵素UCH-L1のI93M変異とパーキンソン病発症の因果関係を証明するため、同変異体発現トランスジェニックマウスを作成・解析し黒質ドパミンニューロンの加齢依存的塗脱落を見出した。パーキンソン病患者脳で報告があるdense core vesicle様構造物の形成も確認した。この成果は同トランスジェニックマウスがパーキンソン病の発症機序を解析する上で有用なモデルであることを示唆する。さらに、家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS)の原因遺伝子であるSODについて、発症原因となる変異を持つSODがユビキチンシステムだけでなくマクロオートファイジーシステムによっても分解されることを見出した。この成果はFALSの発症機序の解明に貢献すると考えられる。
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Research Products
(4 results)