2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16300129
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 薫 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (50111373)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 義輝 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (50184908)
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Keywords | 眼振急速相 / サッケード / バーストニューロン / ボーズニューロン / グリシン抑制 / 適応学習 / 学習捉通 / 小脳 |
Research Abstract |
眼振急速相とサッケードの運動指令をコードするバーストニューロンがグリシン抑制を受けることを昨年度報告した。本年度は、この抑制入力を遮断した状態で興奮入力の動態を解析した。覚醒ネコのバーストニューロンの活動をマルチバレル電極を用いて記録し、グリシン受容体阻害薬(ストリキニン)を電気泳動的に投与した。通常バーストニューロンは注視期には全く活動を示さないが、投与後は自発活動が出現し、強い視覚性の興奮応答を示した。上丘刺激により単シナプス性興奮が誘発されたことから、視覚入力が上丘に由来することが示唆された。また、サッケード時のバーストに先行する活動とバーストに続く長い活動を認め、オフ方向のサッケードでも活動を示すようになった。以上の結果から、興奮入力は運動指令だけではなく感覚性の信号を含み、抑制入力はこれを押さえ、注視期に眼球が動くのを防いでいることが明らかになった。また抑制入力は運動指令の方向選択性を高め、サッケードの開始と終止を決定する役割を果たすことが明らかになった。 上記研究と平行して、サッケード適応学習の捉通機序をサルを用いて調べた。これまでに我々は、学習の繰返しにより適応速度が上昇することを明らかにしている。本年度は学習履歴の効果が方向特異性を持つかどうかを調べた。適応課題遂行中に視覚誤差の向きを2回逆転させ、conditioning、recovery、testの3ブロックに分けた。conditioning, recoveryでは水平または垂直サッケードを適応させてから消去し、testでは斜めのサッケードを適応させた。水平サッケード適応を先行させた場合は、斜めサッケードの水平成分の適応速度が増大し、垂直適応先行の場合は垂直成分の適応速度が増大した。以上の結果から、適応学習をおこす可塑的変化と、その促進を起こす可塑的変化は類似の方向特異性を示すことが示唆された。
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Research Products
(5 results)