2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性筋疾患の治療法の開発を目指した骨格筋再生の分子機構の解明
Project/Area Number |
16300132
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山元 弘 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (50127312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻川 和丈 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (10207376)
深田 宗一朗 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (20432445)
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Keywords | 筋衛星細胞 / 筋再生 / マクロファージ / 幹細胞 / サイトカイン / 遺伝子チップ |
Research Abstract |
これまでの研究で、マウス筋衛星細胞特異的モノクロナル抗体SM/C-2.6を樹立し、これを用いてマウス骨格筋から筋衛星細胞を単離精製することに成功している(Exp.Cell Research, 2004)。さらに、静止期筋衛星細胞が発現する遺伝子について、遺伝子チップを用いた網羅的解析を進め、多数の遺伝子を同定した。一方、再生が始まる時期と同期して、再生筋組織にマクロファージが多量に浸潤すること、さらにマクロファージが欠損した条件下では筋再生はほとんど進行せず、むしろ線維の増生が盛んになることを見出している(瀬川ら、論文投稿中)。 ・そこで線維の増生の原因となる細胞の同定とその役割、またマクロファージが産生する因子と線維増生との関連を明らかにするために、骨格筋再生途中の浸潤マクロファージが発現する遺伝子を調べ、線維の増生に関わる遺伝子を遺伝子チップ解析した。その結果CTGF、TGFβの上昇を明らかにした。 ・またマクロファージが産生し筋衛星細胞の分化に働く分子としてGDF3を同定した。GDF3はBMP4にantagonisticに働いて、筋管形成を促進していることを突き止めた(兼松ら、論文準備中)。 ・浸潤する細胞のうち、線維増生に働く細胞の同定を進め、Thy-1陽性の細胞群を単離精製することに成功した。Thy-1陽性細胞は、培養条件下では線維芽細胞の形態を示した。 ・さらにThy-1陽性細胞がラミニンの一種、メロシン産生の主役であることを明らかにした。(深田ら、論文投稿中)。このことは、メロシン欠損で発症する常染色体性筋ジストロフィーの治療に、Thy-1陽性細胞が役立つ可能性を示し得た点で、貴重な発見である。 これら知見は、線維形成の阻害による筋ジストロフィー病態の進行阻止の手段を提供するとともに、常染色体性筋ジストロフィーの新しい治療法の開発に資すると考えられる。
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