2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞リズムの階層的相関ダイナミクス:非線形振動子間の協調と破綻
Project/Area Number |
16300145
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河原 剛一 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (20125397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲波 修 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (10193559)
内貴 猛 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (40241385)
山内 芳子 北海道大学, 大学院・情報科学研究料, 助手 (50230313)
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Keywords | 培養心筋細胞 / 拍動リズム / 細胞内Ca^<2+>振動 / ギャップ結合 / 細胞外情報伝達系 / ATP / purinoceptor |
Research Abstract |
生体には呼吸や心拍など多くのリズム現象が存在している。生体を器官、組織、細胞などから構成される階層性を有するシステムとして捉えると、その最小機能単位である細胞においても様々なリズム現象が認められる。本研究では、細胞全体、細胞質内およびオルガネラであるミトコンドリア・クリステ内という、異なった階層において認められる複数リズム間相互作用、それらリズムの協調と破綻のメカニズムの解明を目指した。昨年度の解析により、培養開始から4日目(4 DIV)の心筋細胞の拍動リズムは細胞間で同期しており、細胞内Ca^<2+>振動も細胞間で同期していることなどを明らかにできた。本年度は、自発的で周期的な拍動を示す新生ラット培養心筋細胞を非線形自励振動子のモデルと見なし、細胞内Ca^<2+>振動の心筋細胞間同期のメカニズムのさらなる解明を目指した。その結果以下に述べる研究成果を得た。 (1)物理的に接触が認められない心筋細胞間でも心筋細胞間での細胞内Ca^<2+>振動は同期していた。 (2)細胞内Ca^<2+>振動の心筋細胞間同期は、ギャップ結合をDSAやheptanolによって薬理的に阻害しても持続することが分かった。 (3)細胞内Ca^<2+>振動の心筋細胞間同期は、BDMで拍動を完全に停止させても持続していた。 (4)P2 purinoceptorの阻害薬であるsuramin付加によって、細胞内Ca^<2+>振動の心筋細胞間同期が崩壊することが分かった。 以上の結果は、細胞内Ca^<2+>振動の心筋細胞間同期に細胞外情報伝達系としそのATP-puriniceptor系が関与している可能性を示唆している。
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Research Products
(7 results)