2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16300150
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神保 泰彦 東京大学, 大学院新領域創成創成科学研究科, 教授 (20372401)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 賢二 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (20313158)
佐久間 一郎 東京大学, 大学院工学系研究科, 教授 (50178597)
|
Keywords | 可塑性 / 細胞培養 / ニューロン / 電極アレイ / 電気刺激 / 神経回路 |
Research Abstract |
周囲環境との相互作用を内部状態に反映させていく「可塑性」が生体情報処理の大きな特徴と考えられている。しかしながら、現状、LTP,LTD(長期増強.長期抑圧)に代表されるシナプスの可塑性が、生体情報処理システムとしての機能を発現する"細胞集団の振舞い"にどのように反映されるのかはほとんどわかっていない。本研究では細胞集団の活動に対する時空間計測手法である電極アレイ法の適用により「シナプス可塑性統合過程」の実験的観測を目指している。研究計画最終年度である平成18年度は、以下の2項目:(1)パターン刺激を利用した神経回路応答変化の誘導、(2)単一細胞活動と細胞集団活動の同時計測を目的とする人工神経回路形成、に関する研究成果のまとめと対外発表を行った。 (1)電極アレイ基板上に形成したラット大脳皮質培養神経回路に対して異なる2点から時間的に相関を持たせた電気刺激を高頻度に印加することにより、誘発応答特性が変化することを見出した。高頻度相関刺激経験後は、時間的に先行する刺激に対する応答に、他方の刺激に対する応答成分が含まれる場合がある。逆のケースは観測されなかった。神経回路活動レベルでの「連想」的な振る舞いにつながる現象の可能性があると考えている。この成果を欧州神経科学国際会議(FENS Forum)のサテライトミーティングで発表した。 (2)パターン化培養神経回路形成手法の新たな可能性につき検討した。(1)細胞接着性の基板上に形成した非接着性薄膜を部分的に除去する、(2)細胞非接着性の基板上に部分的に細胞接着性の薄膜形成を行う、という2つの視点から研究を進めた。前者については、カオトロピック効果を利用したアガロース薄膜のエッチングという手法を考案し、パターン化基板とパターン化神経回路形成を確認した。後者についてはスプレーパターニングによる微小培養領域形成と、単一細胞に近い形での細胞培養が可能であることを確認し、電気学会論文誌に発表した。 以上、3年間の研究を総括し、報告書を作成した。
|
Research Products
(5 results)