神経解剖学・生理学の知見に基づく脳幹・脊髄神経系の超詳細数理モデルの構築

2004 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 16300154
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 野村 泰伸 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (50283734)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 松山 清治 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (40209664)
• Keywords: ニューロンモデル / 脊髄神経系 / アナログ・デジタルハイブリッド / 階層構造 / ダイナミクス / オブジェクト指向 / シミュレーション

Research Abstract

本研究は,入手可能な限りの神経解剖学と電気生理学的知見に忠実に,複数の計算機内に階層的かつ分散ネットワーク的に脳幹・脊髄神経系の超詳細大規模数理モデルを構築することを目指している.これは,神経解剖学データに基づく神経回路網の結線構造と各神経細胞の形態を3次元的に再構成,電気生理学的データと文献サーベイに基づく神経細胞のイオンチャネル(コンダクタンス)ベースの微分方程式モデルおよびアナログ/デジタルデバイスとしてモデル構築を含む.徹底的なオブジェクト指向に基づき,神経回路網と細胞の構造,構成要素のダイナミクスの双方を計算機内に構築することを目指しており,システム構築後は,ユーザが,あたかもそこに実際の神経系が存在するかのような感覚で,系の全体とその構成要素へアクセスすることを可能になる.期間の最終段階には,構築した神経系全体のダイナミクスシミュレーションの実施を目指す.この目的を達成するために,研究初年度である16年度は,初期段階の小規模モデルの構築が行える環境を整備した.具体的には,システムの構成要素である介在ニューロンの数理モデル化およびアナログ・デジタルハイブリッドシステムとしてのオブジェクト化を実施した.また,本研究で開発・利用するモデル構築システムは,サブシステムの構築,サブシステム同士の並列結合,サブシステムの内部に階層的にサブシステムを配置できることが特徴である.本年度は,この特徴を実現する基盤システム(プログラム)として,STLライブラリおよびSQLデータベースシステムを融合した新たなデータ構造の設計・構築を実施した.これにより,ニューロンのネットワーク構築は,大局的サブシステムの構築とネットワーク化,局所的微細構造の構築とネットワーク化の両面から進めることが可能になった.この結果に基づき,平成17年度はより具体的なシステム構築を実施する.