2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト・トロンボモジュリンの高分子超薄膜への固定化と医療材料への応用
Project/Area Number |
16300156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
明石 満 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20145460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 征郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
木田 敏之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20234297)
金子 達雄 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20292047)
菅谷 博之 東レ(株), 機能材料研究所・医療システム研究室, 主任研究員
舩木 隆文 (株)BMTハイブリッド, 研究員
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Keywords | トロンボモジュリン / ポリスルホン / 高分子超薄膜 / 物理吸着 / 抗血栓性 / 医療材料 / プロテインC活性 / 産学官連携 |
Research Abstract |
(背景)高い生理活性を持つ生体高分子を高分子材料表面に固定化することにより生体適合性材料を創製し、医療用材料へ応用することが行われてきた。ヘパリンを固定化し抗血栓性材料を生み出すことなどが広く行われている。ヒト・トロンボモジュリン(以下hTM)は血管内皮細胞膜上の糖タンパク質であり、抗血液凝固性、抗酸化作用などを持ち、ヒトの血管内および体外の血液凝固を制御している。TMは強い種特異性を持つが、トロンビンと結合することによりプロテインCを活性化し、トロンビンの血液凝固作用を消失させる。1992年より、明石・丸山は詳細な検討を行い、hTMが固定化されても抗血液凝固性を示すこと、微少量の固定化でも効果があること、安定性が高いことなどを明らかにしてきた。明石は高分子超薄膜(特に積層膜)の研究を展開し、高分子材料のナノレベルでの積層、薄膜表面の性状、機能および機能付与等について研究し、生体材料が生体と接する材料表面について基礎的知見を得、医療用材料へ応用展開する準備を行ってきた。 (目的)本研究では高分子超薄膜へのhTMの固定化に関して最適条件および手法を見出すこと、hTMを用いた抗血液凝固活性を持つ医療材料へと実用化させるに充分な基礎研究を完結させることを目的とする。本研究においては高分子材料とhTMの物理吸着によるコーティングに関する手法を検討する。これにより人工透析膜や人工血管などの材料の機能を一段と向上させることが可能となる。 (実施状況)実際の透析用ダイアライザーの材料であるポリスルホン超薄膜上へのhTMの物理吸着挙動をQCM法を用いて検討した。その結果hTMの濃度に依存して吸着量の増加が確認され、また長時間の洗浄後もhTMがポリスルホン膜上に固定化されていることを確認した。ヒト全血を用いた凝固時間、プロテインC活性からこの手法で得られた材料は抗血栓性を示すことが確認された。現在、実際のダイアライザーへhTMを物理固定しブタを用いた動物実験に着手している。これらの結果は阪大明石研究室、鹿児島大学丸山研究室、東レ(株)、(株)BMTハイブリッドの連名で、第53回高分子討論会、日本バイオマテリアル学会シンポジウム2004にて発表した。
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