2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト・トロンボモジュリンの高分子超薄膜への固定化と医療材料への応用
Project/Area Number |
16300156
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
明石 満 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20145460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 征郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
木田 敏之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20234297)
金子 達雄 大阪大学, 大学院工学研究科, 助手 (20292047)
渡邉 順司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特任助教授(常勤) (60323531)
松崎 典弥 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特任助手(常勤) (00419467)
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Keywords | トロンボモジュリン / 抗血栓性 / 医療材料 / 高分子超薄膜 / 物理吸着 / ポリスルホン / 表面 / 産学官連携 |
Research Abstract |
トロンボモジュリン(TM)の吸着挙動は水晶振動発振子の振動数変化を測定することで評価した。ダイアライザーの材料であるポリスルホン(PSF)の超薄膜上へ、TMを物理吸着させた(25μg/ml,37℃,Tris緩衝液,pH=7.4)。TMの吸着は約5時間で飽和に達し、吸着後にTMを含まない緩衝液に9時間浸漬した後も吸着量の減少は見られなかったため、安定であることが確認された。TM吸着後のPSF超薄膜表面の対水接触角が減少したことからTMが均一に吸着していると考えられる。また、フィブリノーゲン、リゾチーム、カタラーゼなど種々のタンパク質についても、PSF超薄膜への物理吸着挙動を検討した。その結果、タンパク質の種類によって吸着飽和時間、対水接触角に違いが観察された。 TMは血液中のトロンビンと結合することによりプロテインCを活性化し、トロンビンの血液凝固作用を消失させる。このため活性化プロテインCの活性量を測定することによって、TMを物理吸着したPSF膜の機能評価を行った。その結果、TM固定化PSF膜は、等量のTMを含む溶液と比較して50%のプロテインC活性化能を保持していることが明らかとなった。 TMを物理吸着によりダイアライザーへ固定化し(25μg/ml,室温,PBS, pH=7.4)、ブタ(体重約30Kg)を用いた体外血液循環実験を実施した。その結果、TM固定化ダイアライザーはコントロール(凝固時間:約45min)と比較して体外血液循環時間を4倍以上に延長することが確認された。循環血液中へのTM溶出濃度は約2ng/mlで、ヒト全血中の平均的なTM濃度(14ng/ml)と比べても、ごく微量であることが明らかとなった。 以上の結果から、TMを物理吸着法により、ごく微量固定化することができ、固定化したTMはその活性を十分に維持していることが確認された。
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Research Products
(3 results)