2005 Fiscal Year Annual Research Report
超音波造影剤の脳内スカベンジャー細胞(間藤細胞)に対する影響の研究
Project/Area Number |
16300174
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Research Institution | JICHI MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
伊東 紘一 自治医科大学, 医学部, 教授 (60095007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大河原 重雄 自治医科大学, 医学部, 教授 (60049088)
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Keywords | 超音波 / 超音波造影剤 / スカベンジャー細胞 / 光学顕微鏡 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
平成17年度は、生後12週のウイスター系レット60匹を用いた超音波造影剤レボビスト、DD723、オプチゾンを鼠径部静脈から注入し,脳内への超音波照射と造影剤の影響を観察するために、静脈内注入後5分、30分、10日間のグループに分けた。コントロール群、超音波照射のみの群、レボビスト注入のみの群、レボビスト注入と超音波照射の群、DD723のみの群、DD723と超音波照射の群、オプチゾンと超音波照射の群について、冷2.5%グルタールアルデヒド、2%パラホルムアルデヒド注入により還流固定し、エーテル麻酔下に開頭し大脳皮質を摘出し細切した。標本は光学顕微鏡、電子顕微鏡によりスカベンジャー細胞の変化を観察した。 結果;1)超音波照射のみで5分、30分では黒色顆粒と空胞が少し増加している。また、血管壁とスカベンジャー細胞との間のコラーゲンの変化は透過性の後進を示していると思われた。細管系の変化も見られる。10日後にも変化は続いていた。細胞質が黒く濃い変化を示しライソゾームノ破壊が見られた。2)DD723のみでは、ライソゾームの浮腫、破壊があり、DD723に超音波照射を行ったものでも同様の変化が認められた。3)レボビストと超音波照射においてもDD723と同様の変化であった。4)オプチゾンと超音波照射ではレボビスト、DD723よりも強度の変化が見られた。脳内の微小血管周囲のマクロフアージであるスカベンジャ細胞は中枢神経系の細動静脈周囲隙(血管を構成する最も外層の血管平滑筋細胞基底膜と星状膠細胞基底膜との間である所謂ウイルヒョウロバン腔)に常在する細胞で、細胞内に大型の顆粒を有している。この細胞は脳浮腫のマーカーとなり、脳微小血管から漏出した液体を速やかに取り込む。超音波造影剤として用いられるマイクロバブルの破壊による影響を調査した結果、各種造影剤と超音波照射による変化が見られた。 以上の結果から、超音波造影剤と超音波照射は脳内のスカベンジャー細胞の変化をもたらすことが明らかとなったことから、今後もさらに造影剤の影響に関する研究が必要であるとおもわれた。
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Research Products
(1 results)