2006 Fiscal Year Annual Research Report
21世紀の新しい治療としての慢性疾患に対する温熱療法の確立
Project/Area Number |
16300184
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鄭 忠和 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (10163891)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 昭彦 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00315441)
増田 彰則 鹿児島大学, 大学院医歯学総合研究科, 客員研究員 (10347099)
宮田 昌明 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00347113)
|
Keywords | 温熱療法 / 心不全 / 閉塞性動脈硬化症 / 血管新生 / うつ病 / 慢性疲労症候群 / 慢性疼痛 / 慢性閉塞性肺疾患 |
Research Abstract |
心不全患者において温熱療法の酸化ストレスに及ぼす効果を検討した。慢性心不全患者20名に対し温熱療法を施行し、初回温熱療法の前後、温熱療法2週・4週後のそれぞれで、酸化ストレスのマーカーである血中ヒドロペルオキシドを測定し比較検討した。慢性心不全患者での血中ヒドロペルオキシドは正常値より増大しており、2〜4週の温熱療法により血漿中ヒドロペルオキシド濃度の有意な経時的減少を認めた。温熱療法は慢性心不全患者で増加した酸化ストレスを減少させることを明らかにした。 温熱療法による血管新生に関する検討では、アポ蛋白E欠損マウスの下肢虚血モデルにおいて、5週間の温熱療法は下肢血流と血管密度を増加させた。L-NAMEやeNOS欠損マウスを用いた実験により、温熱療法の血流改善作用にeNOSとNOが重要な役割を果たしていることを明らかにした。この結果は、Circulation Journal誌に掲載された。 さらに、閉塞性動脈硬化症(ASO)に対する温熱療法の効果をASO患者20名で検討した。10週間の温熱療法により、下肢疼痛、6分間歩行距離、ABI、体表温度、レーザードプラ血流計による下肢血流、下肢血管造影に関して有意な改善を認めた。また、皮膚潰瘍を有した7例全例で潰瘍が縮小・治癒した。ASOの新しい治療法として期待される。 軽症うつ病、慢性疲労、慢性疼痛患者に対して温熱療法を施行し、それぞれの症状を改善し、3報の論文が掲載された。心身症の新しい治療法として温熱療法が注目されている。 重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)13例に対して4週間の温熱療法を施行した。その結果、全例に安全に温熱療法を施行でき、運動耐容能と運動時の肺高血圧と自覚症状(St.George's Respiratory Questionnaire:SGRQ score)の改善を認めた。COPDに対する新しい治療法として期待される。
|
Research Products
(7 results)