2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳波事象関連電位による無意識的知覚と運動反応の情報処理過程の解明
Project/Area Number |
16300210
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
今中 國泰 首都大学東京, オープンユニバーシティ, 教授 (90100891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西平 賀昭 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (20156095)
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Keywords | 逆向マスキング / 潜在知覚 / 無意識的知覚 / 反応時間 / 脳波 / 事象関連電位 |
Research Abstract |
本研究は、無意識的(潜在的)な知覚過程の脳内情報処理を行動指標と脳波事象関連電位から検討し、無自覚的な感覚入力は、知覚過程を促進するのかあるいは運動準備過程を直接駆動するのか、という観点から、知覚-運動連関のしくみを明らかにすることを目的としている。特に、行動指標としてマスキング条件下の反応時間を用い、その反応時間課題実施時の知覚・認知情報処理の特性を事象関連電位P100、P300などから、また運動準備過程の情報処理については側方化運動準備電位(LRP)を用いて検討している。 今年度は、視覚マスキング刺激による反応時間課題の実験を実施した。刺激は、プライム刺激+マスク刺激、マスク刺激のみの2種類とし、前者をマスキング条件、後者を比較条件とした。マスキング条件では、プライム刺激の輝度コントラストを操作することにより、プライムの検出率を50%(プライムはまったく見えない)と80%(プライムはやや見える)になるように設定した。実験の結果、反応時間はマスクのみ条件が最も長く、次いで50%条件、80%条件の順で短縮した。この結果から、50%マスキング条件下では見えないはずのプライム刺激が反応を促進していることが確認された。事象関連電位については、一次視覚野の活動を反映するP100では、50%、80%いずれの条件でもプライムによる応答がみられ、50%条件下ではプライム刺激が知覚できなかったにもかかわらず、80%条件とほぼ同等のP100(一次視覚野)応答がみられた。刺激評価を反映するP300については、50%条件とマスク条件における頂点潜時が80%条件に比べて延長し、振幅も80%条件よりも高い傾向を示した。この結果、P300には、50%条件の場合はマスク刺激に対する刺激評価が反映され、80%条件ではプライム刺激の評価がP300に反映されたものと考えられた。さらに、LRPの立ち上がり潜時をみると、50%及び80%条件のLRPがマスク条件よりも早期に立ち上がっており、50%、80%条件下のLRPはプライム刺激により生起したものと考えられた。すなわち、LRPに反映されている運動準備過程は、プライムが知覚できなかったはずの50%条件でも、80%条件と同様、プライム刺激によって早期に活性化されたものと推察された。
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Research Products
(6 results)