Research Abstract |
いじめを予防するためには、いじめの実態をいかに把握するかが重要になる。そこで,平成17年度は,鹿児島市内の中学生433名(1年生135名,2年生149名,3年生149名)を対象に,11月と平成18年2月にいじめに関する質問紙調査を行った。質問紙では,「学級雰囲気」「いじめ被害」「いじめ加害」「PTSD」「ストレス反応」について調査した。有効回答者は1年生112名(有効回答率83.0%),2年生113名(有効回答率75.8%),3年生104名(有効回答率69.8%)であった。 「学級雰囲気」や「いじめ被害」等を従属変数として,学年〔1・2・3〕×性別〔男・女〕の2要因分散分析を行った結果,男子は女子より「いじめ被害」得点,「いじめ加害」得点が高かった。一方,「ストレス反応」は男子より女子が高かった。 さらに各学年における「学級雰囲気」得点,「いじめ被害」割得点等の相関を求めた。その結果,全学年において,「PTSD」得点が高い者は「ストレス反応」得点が高く,「いじめ被害」得点が高い者は「いじめ加害」得点が高かった。また,1年生・2年生においては,「学級雰囲気」得点が低い者は「いじめ被害」得点が高く,「学級雰囲気」得点が低い者は「いじめ加害」得点が高かった。このことより、いじめの実態把握を行う際,「学級雰囲気」を調査することでいじめの有無を把握できる可能性があることが示唆された。 以上の結果を踏まえ,試験的に2年生の1クラスに対し,平成17年11月より平成18年2月にかけてストレスマネジメント教育を行った。その結果,教育前後で,各個人の評価による「学級雰囲気」が良くなり,「いじめ被害」が低減したことが明らかとなった。 以上のことより,ストレスマネジメント教育により,学級雰囲気及び個人の他者への言動に対する受け止め方が変化することが示唆された。
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