2005 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下困難度の評価法の確立と嚥下困難者用とろみ剤の開発
Project/Area Number |
16300237
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Research Institution | OSAKA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西成 勝好 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (10254426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舘村 卓 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (60188266)
吉村 美紀 兵庫県立大学, 環境人間学部, 助教授 (90240358)
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Keywords | 筋電図 / 口蓋舌筋 / 口蓋帆挙筋 / 至適嚥下量 / 口腔相 / 咽頭相 / きざみ食 / キサンタンガム |
Research Abstract |
誤嚥防止には飲食物に適度な粘度を付与することが有効であることが経験的に知られているが、そのためには各種増粘多糖類の粘度特性を知り、それらの組み合わせによりどのような制御が可能になるかを知ることが必要である。本研究においては、各種多糖類および市販されているいくつかのトロミ剤についてレオロジー特性を解明した。また、造影剤とトロミ剤の混合系について、トロミ剤の添加量、粘度、降伏応力の変化が嚥下過程に及ぼす影響についてビデオ嚥下造影検査法により調べ、トロミ剤の添加量が少ない場合には、粘度および降伏応力が非常に小さく、咽頭反射が出現する前に咽頭を通過し、誤嚥しやすく、添加量が多すぎると降伏応力が大きくなりすぎ、咽頭蓋谷に貯留してしまう傾向があることが分かった。 水よりも粘性が高くなった被験食品摂取時の嚥下過程における口腔期から咽頭期への移行段階での口蓋帆挙筋,口蓋舌筋活動の調節について検討した.その結果,被験者に共通して,口蓋帆挙筋活動は粘度と嚥下量を説明変数とする重相関式(重相関係数:0.795-0.869)で説明でき,また標準偏回帰係数は,各被験者とも粘度と嚥下量で近似した値となっていた.すなわち,移行段階での口蓋帆挙筋活動の変化は粘度と嚥下量で60%以上を説明できることが示された.一方,口蓋舌筋活動は重相関式で説明できるものの,重相関係数は0.562-0.745であり,偏回帰係数は,変数ごとに符号ならびに値も被験者により多様であった.すなわち,口蓋舌筋活動の調節には粘度と嚥下量以外の変数も関与する可能性が伺われた. 固有粘度の異なるキサンタンガムのレオロジー的性質とキサンタンガムを添加したきざみ食の嗜好特性について検討した。キサンタンガムA,B,C,Dの固有粘度はそれぞれ15.6,16.0,16.5,20.0dl/gを示した。若年者パネルによる官能評価より、キサンタンガムDを添加したきざみ食は、キサンタンガムAを添加したきざみ食に比べ、口の中での粘りがあり、まとまりが良く、飲み込みやすい評価を得たが、総合評価では好ましくなかった。高齢者パネルは、キサンタンガムAを添加したきざみ食が、増粘剤を添加しないきざみ食と角切りに比べて、まとまりがよく、飲み込みやすいと評価した。総義歯装着者は角切りが一番噛みやすく、ニンジンのきざみ食は小さすぎて噛みにくいと評価した。
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Research Products
(7 results)