2005 Fiscal Year Annual Research Report
自然レベル放射性炭素を用いた海底柱状コア中微生物によるメタン体謝サイクルの解明
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16310002
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内海 真生 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (60323250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 昌男 海洋研究開発機構, 地球環境観測研究センター地球温暖化情報観測研究プログラム古海洋環境復元グループ, 研究員 (50344289)
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Keywords | メタン / メタンハイドレート / 炭素同位対比 / バイオマーカー / 微生物群集 / RNA / DNA |
Research Abstract |
本研究は、海洋堆積物に残されたバイオマーカーシグナルとそのシグナル強度が、どの程度メタン負荷によるものなのか、または、堆積後の続成過程により、微生物により現場で新たに生成されたものなのかについて明らかにするための各種評価手法の開発を目的として実施した。 H16年度は、主に分子レベル14c測定めためのターゲットとするバイオマーカーの探索・定量に関して研究を実施した。堆積物中微生物群集からのRNA抽出方法の検討ならびに抽出したRNAから選択的に特定微生物群集のRNAを選択・濃縮する手法に関する検討を行った他、本研究の鍵であるバイオマーカーとなり得る脂肪酸やRNA分子を破壊することなく直接同位対比測定を行うために、有機物の直接同位対比測定が可能な有機マスのシステムを構築した。また、加速器質量分析計(AMS)による分子レベル14C測定を高精度にするため、分子レベル炭素安定同位体比補正に関するシステムを現有の安定同位体比質量分析計に取り付ける改良を施した。 H17年度は、まず、微生物バイオマーカーの14C分析にむけた前処理法について、特に、大量の堆積物と培養試料からの各種バイオマーカーの高純度の精製、分離方法について検討し、分取キャピラリーガスクロマトグラフ(PCGC)システムを利用することで大量濃縮・分取を可能とした。本手法により、GCで分離された成分のうち,特定の時間帯のピーク物質のみ選択分離捕集が可能となり,目的のPAHs化合物を単一の分子毎に,高純度で分取可能となった。さらに、分取後した各種バイオマーカーのグラファイト化についても、極微量グラファイト反応高真空ラインを使用することで、非常に低いバックグラウンドでのグラファイト化を可能とした。こうして作成したグラファイト化された各バイオマーカーについて、国内で唯一極微量での14C測定が可能な(独)国立環境研究所加速器質量分析施設のペレトロン型加速器質量分析計を用いて14C測定を行った。また、堆積物中の深度毎の微生物群集構造について、16S rDNA部分配列領域を用いた系統樹解析を実施し、有機物リッチな堆積物中では比較的表層からメタン生成に関与するメタン生成細菌に類似の配列が存在していることが確認された。
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