2004 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度ラドン検出器を用いた海洋環境中のラドン濃度の連続観測
Project/Area Number |
16310007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
田阪 茂樹 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 教授 (60155059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 正也 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 助教授 (80281046)
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Keywords | ラドン / 超高感度ラドン検出器 / ラドン濃度連続観測 / 海洋環境中ラドン濃度 / しらせ / 南極海 / 昭和基地 / 全球移流拡散モデル |
Research Abstract |
南極地域観測船「しらせ」の船上で、岐阜大学で開発された超高感度ラドン検出器を用いて、(1)紋別から鳥取までの日本海上(2004年9月13日〜9月17日)、(2)オーストラリアのフリーマントルから昭和基地までの南極海上(2004年12月3日〜12月20日)、(3)昭和基地沖合に停泊中は(2004年12月21日〜2005年1月23日)、しらせ船上と昭和基地の同時観測を実施した。3つの観測期間において海洋表層の大気中ラドン濃度連続観測を行い、海象条件の異なる海洋上の大気中ラドン濃度変動を明らかにした。特に、南極海のラドン濃度観測結果は、ラドンをトレーサーとした、南アメリカ大陸、アフリカ大陸から南極海・南極大陸への物質の移流・拡散の解明と評価に寄与するものである。ラドン濃度観測結果の概要を下記にまとめる。(1)紋別港内ではラドン濃度は10Bq/m^3と陸上の平均的な値であり、日本海上では0.5〜1.0Bq/m^3と低下し、鳥取港沖合では2Bq/m^3と上昇した。(2)12月3日にフリーマントル出港当初の0.10Bq/m^3から、東経110度に沿って南下して0.02Bq/m^3まで低下した。12月6日〜7日にかけて、中心気圧949hPaの低気圧に遭遇し、この時0.12Bq/m^3まで急激に増加し、低気圧を通り抜けると0.04Bq/m^3まで低下した。その後、12月9日に南緯60度まで南下して、東経99度から東経39度の昭和基地に向けて南極海を西航し、この期間は0.02〜0.06Bq/m^3と低い値で変動した。(3)昭和基地沖合停泊中は0.035Bq/m^3と低値であったが、1月12日と1月20日には0.08Bq/m^3に増加した。このラドン増加現象は昭和基地でも同時に観測されている。この時の気圧配置は昭和基地の東西に低気圧があり、北方の高気圧からラドンが輸送されてきた可能性が大きい。今後、これらの南極海におけるラドン濃度観測結果は、全球移流拡散モデル等の計算結果と比較検討され、大陸起源物質の長距離輸送の解明に役立つものである。
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Research Products
(1 results)