2005 Fiscal Year Annual Research Report
治療用重粒子による水の放射線分解の評価とビームの可視化技術の開発
Project/Area Number |
16310036
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勝村 庸介 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70111466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 久明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (00334318)
室屋 裕佐 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40334320)
村上 健 独立行政法人放射線医学総合研究所, 重粒子医科学センター, ビーム利用調整室長(主任研究官) (20166250)
前川 康成 日本原子力研究開発機構, 高崎量子応用研究所・環境・産業応用研究開発ユニット, 副主任研究員 (30354939)
時田 澄男 埼玉大学, 工学部, 教授 (20008866)
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Keywords | 重粒子 / 水の放射線分解 / LET効果 / スパー拡散モデル / モンテカルロ計算 / ビーム可視化 |
Research Abstract |
本研究では、重粒子の物理・化学作用の実験測定と理論計算による検討とともに、ビーム可視化新技術の開発を目的としている。前者については放射線医学総合研究所のHIMAC施設から得られるGeV級重粒子、He 150MeV/u、C 290MeV/u、Ne 400MeV/u、Si 490MeV/u、Ar 500MeV/u、Fe 500MeV/uの入射エネルギーでの水分解のG値測定を行った。今年度は、C 135MeV/uとC 400MeV/uを新たに加え、同じ重粒子ビームでLETを変えての実験を進めた。炭素イオンでLETを11,12,22eV/nmと変えた。これらのビームを使用し、水和電子、OHラジカル、H_2O_2の生成G値を決定した。 理論的な計算としてスパー拡散モデルに基づく計算を開始した。低LETで水和電子やH_2、H_2O_2の収量の時間変化の実験値、報告値を用いてパラメーターを決定し、球状スパーで低LETによる放射線分解の時間依存性を計算するコードを作製した。このコードを高LET放射線照射による水分解に適用するために、円筒スパーのコードも作製した。イオンビームごとにトラック構造はかなり異なるが、見かけ上実験値を再現できるパラメーターを決定した。この精度を検討中である。モンテカルロ法についてはカナダのシャーブルック大学のグループとの共同研究を実施中である。計算コードにより重粒子照射用での二次電子の分布などの特性をまとめ、本格的な計算に進める予定。 ビーム可視化技術開発については、新たに開発した色素のシステムを合成し、これらを重粒子で照射し、着色することに成功した。線量にして20Gyで十分着色し、感度はこれまでのものに比べて非常に高い。しかし、このシステムは水には不溶で、アセトニトリル溶液である。現在の所、水溶性の可視化システムの開発は困難である。
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