2005 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺系を撹乱する有機ハロゲン化合物のバイオアッセイ系開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
16310038
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山内 清志 静岡大学, 理学部, 教授 (50201827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 秀重 東京農工大学, 農学部, 助教授 (70187970)
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Keywords | 有害化学物質 / 甲状腺ホルモン / 内分泌撹乱 / バイオアッセイ |
Research Abstract |
内分泌撹乱化学物質は、ホルモンの合成から受容体に至るステップのいずれかに影響を与え、本来発揮されるホルモン作用が撹乱されるものと考える。本研究では、標的細胞での化学物質の作用に焦点を当て、甲状腺系に影響を与える疑いが示唆されている臭素化難燃剤である臭素化ビスフェノールAおよび臭素化フェノールを用いて、3つのin vitroアッセイと1つのin vivoアッセイを用いてその撹乱作用を検討した。in vitroアッセイには、ホルモンがトランスサイレチン(TTR)や受容体(TR)に結合する際の競合阻害を調べたTTRアッセイとTRアッセイ、さらにホルモン応答性のレポーター遺伝子の転写活性を培養細胞で調べたLucアッセイから成り、in vivoアッセイでは、甲状腺ホルモンによって制御される両性類の変態現象を利用した変態アッセイから成る。臭素化ビスフェノールAおよび臭素化フェノールの多くはTTRアッセイとTRアッセイで活性を示し、TTRへの甲状腺ホルモン結合阻害はTRアッセイよりTTRアッセイのほうが高かった。また、ハロゲン化の程度が高い化学物質のほうが活性が高く、臭素化ビスフェノールAにおいては、甲状腺ホルモンと化学構造が類似しているものが高い活性を示し、活性構造相関が認められた。これらのうち活性の高かった臭素化ビスフェノールAをLucアッセイで調べたところ、その幾つかにおいて有意なアゴニストおよびアンタゴニスト活性が検出できた。しかし、TRアッセイ、TTRアッセイで活性を示したがLucアッセイで活性を示さない化学物質も存在し、幾つかのアッセイを組み合わせて甲状腺系撹乱作用を評価する必要があると思われた。また、Lucアッセイで活性を示した臭素化ビスフェノールAは、変態アッセイにおいてもアゴニストおよびアンタゴニスト活性を示したが、オタマジャクシの個体差によるばらつきが大きく、in vivoで甲状腺系撹乱作用評価による困難さを提示した。
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Research Products
(4 results)