2006 Fiscal Year Annual Research Report
マウスの放射線による皮膚発がん実験系にみられるしきい値様現象とP53遺伝子の関係
Project/Area Number |
16310046
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
大津山 彰 産業医科大学, 医学部, 助教授 (10194218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
法村 俊之 産業医科大学, 医学部, 教授 (20039530)
加藤 文雄 産業医科大学, 医学部, 非常勤講師 (20309959)
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Keywords | p53遺伝子 / ノックアウトマウス / ベータ線 / 反復照射 / 皮膚がん / 放射線発がん |
Research Abstract |
p53遺伝子ノックアウトマウスとヘテロマウス、正常マウスを用い、放射線の発がん過程でp53遺伝子がDNA修復機構と協調し損傷細胞をアポトーシスによって排除する機構を検証する。 照射方法:7週令マウスの背部被毛を剃毛後、β線源を皮膚に密着して照射する。発がんが確認されるまで週3回反復照射を続ける。 β線源:^<90>Sr-^<90>Y直径2cm円盤線源、1.85GBq、線量率15Gy/min. 1回当りの照射線量:1回照射線量2.5Gy(実験群I)と5Gy(実験群II)を用いた。 実験群I: 1.p53遺伝子ノックアウトマウス群 ♂ 1群11匹 2.5Gy/day,3times/week 2.p53遺伝子ヘテロマウス群 ♀ 1群11匹 "," 3.p53遺伝子正常マウス群 ♀ 1群8匹 "," 4.C57BL/6マウス ♀ 1群10匹 "," 5.ICRマウス ♀ 1群10匹 "," 照射開始後202日でI-1群は全て死亡、発がんは無かった。照射開始後376日でI-2群は全て死亡し4/11例の発がんがみられた。またI-3,4,5群でそれぞれ2/8、2/10,4/10例の発がんがみられた。 本年度の実験と結果: 実験群Iの継続と1回照射線量を5Gyにした実験群IIを行った。 実験群II: 1.p53遺伝子ノックアウトマウス群 ♀ 1群36匹 5Gy/day,3times/week、1群31匹 7.5Gy,3times/week 2.p53遺伝子ヘテロマウス群 ♀ 1群35匹 "," 3.P53遺伝子正常マウス群 ♀ 1群33匹 "," 照射開始後204日でII-1群は1回照射線量5Gyと7.5Gy全て死亡し発がんは無かった。照射開始後332日でII-2群は全て死亡し19/35例に発がんが見られた。II-3群では照射開始後674日で全て死亡し6/33例の発がんがみられた。 ヘテロ群では対照群よりでは120日(5Gy群)と80日(2.5Gy群)ほど早くかつ高率に発がんすることがわかった。p53遺伝子が半分だと放射線皮膚発がんに影響があることが示されたが、p53-/-群での発がんは見られておらず、p53-/-群では発がんに至るまで寿命が無いと考えられた。
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