2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16310068
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
中林 誠一郎 埼玉大学, 理学部, 教授 (70180346)
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Keywords | 超音波 / 気液界面 / 気泡 / 発光 / 強磁場 / 爆縮 |
Research Abstract |
超純水を満たした対照性の良い容器に、超音波の定在波をたて気泡を入れる。すると1つの気泡のみが容器の中心に捕獲され、青白い発光をする。この現象は単泡性ソノルミネッセンス(SBSL)と呼ばれる。本研究では反応場を強磁場に変え、気泡の発光強度、振動状態の変化を観察し考察した。PZT振動子を取り付けた丸底フラスコに、十分脱気した超純水を満たした。ファンクションジェネレーターとパワーアンプによりPZT振動子を駆動し、超音波を照射した。セルに2波長分の定在波が立つように調整した後、この音場に気泡を導入すると中心部に1つの気泡のみが捕獲された。音圧を上げることで発光を始める。振動状態は光散乱方を用い、発光強度、散乱強度はPMTを用いて測定した。磁場は最大10Tまで上げることができる超伝導マグネットを用い、気泡捕獲位置を磁場中心に合わせた。超音波の音圧、周波数を一定にした状態で発光強度を測定した。発光強度は磁場の上昇に対し減少していき、最終的に完全に発光しなくなった。これは磁場が気泡の振動状態に影響を及ぼしたのではないかと考えた。そこで気泡の振動状態を光散乱から、測定してみると最大膨張半径が、磁場の上昇に対して減少していくことがわかった。これらから、気泡は磁場によって膨張が阻害されることが判った。このため、準断熱圧縮を起こせないため気泡内の温度は上昇せず、発光しなくなったと考えられる。我々はさらに気泡の膨脹収縮に異方性を持っているのではないかと考えた。そこでレーザーの照射角度をより上方から照射することにより、気泡を三次元的に計測した。このとき、上方からレーザー光照射したとき、最大膨張半径の減少はおこらず、ゼロ磁場中での挙動に近い振る舞いが観測された。レーザー照射角度を変えることで光散乱強度に変化が生じるということは気泡の歪みを示唆していると考えられる。これら結果から磁場は気泡と水における気液界面に影響を及ぼしたのではないかと考えた。そこで界面の運動に異方的に影響を持つ界面活性剤を加え、その効果を測定した。最大膨張半径は純水を用いたときとは全く異なる振る舞いを見せた。これらから磁場は高速で動く気液の自由界面に大きな影響をおよぼしたと考えられる。また、磁場中において周波数一定で、音圧を増加させていく実験を行った。気泡は0Tに比べ、5T、10Tではより耐圧的になり、最大膨張半径が増加することを見出した。
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