2005 Fiscal Year Annual Research Report
極低温近接場分光法によるナノ構造中の電子波動関数のマッピングと制御
Project/Area Number |
16310075
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
斎木 敏治 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (70261196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 晋太郎 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (90271527)
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Keywords | 波動関数 / 近接場光学顕微鏡 / 窒化物半導体 / ホモダイン法 / 量子ドット / 局所状態密度 |
Research Abstract |
これまで取り組んできた発光検出による波動関数マッピングの場合、励起状態の観察のためには、多くのキャリアで量子ドットを占有しなくてはならず、本来の一電子状態としての波動関数を可視化することは非常に困難である。そこで今年度は、量子ドットからの反射光を信号として検出するための高安定近接場光学顕微鏡の開発をおこなった。反射光の偏光状態を安定化するため、数cmのファイバが導入できるよう、設計に工夫を凝らした。また、微弱な反射信号を検出するため、内部反射光を参照光とするホモダイン検出法の開発もおこなった。装置のデモンストレーションは既に終えている。 発光検出による波動関数マッピングとして今年度は、光通信デバイス材料として有望な窒化物半導体GaInNAsを主な観察対象とした。Nの不均一な分布による局所的なポテンシャル揺らぎが量子ドットとして機能することが明らかとなった。詳細な発光分布マッピングとスペクトル計測、ならびにそれらの励起強度依存性により、ドットの大きさ、密度、ポテンシャル揺らぎの大きさ、量子ドット間の相互作用などを解明することができた。 また、人工的な量子構造として静電閉じ込め量子ドットの発光マッピングをおこなった。サイズが大きいため、個々の量子準位の波動関数マッピングには至らなかったが、局所状態密度とその電場による制御を可視化することに成功した。ドット間のスピン相互作用の解明に格好の研究対象であることが明確になり、来年度はそのような研究に向けた新しい装置作製に取り組むことを決定した。
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