2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ・バイオ物質における形状と機能の量子論:計算物理学的アプローチ
Project/Area Number |
16310083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
押山 淳 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (80143361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 賢二 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (20334039)
BOERO Mauro 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (40361315)
岡田 晋 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (70302388)
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Keywords | ナノ物質 / バイオ物質 / 量子論 / 電子状態 / ナノ形状 / 密度汎関数法 / 計算科学 |
Research Abstract |
ナノスケールの構造体・材料におけるナノ形状と電子状態さらにはその機能との相関を調べるための、量子論に立脚した計算物理的手法による研究が進められた。電子同士の相互作用を密度汎関数法で扱った計算が主に実行され、以下の結果が得られた。 1.原子ワイヤーのコンダクタンスを計算する波動関数マッチング法の開発が行われ、各種原子ワイヤーのコンダクタンスが計算された。その結果Alワイヤーでは、貴金属系のワイヤーとは異なり、s軌道とp軌道から成る電子状態の広がり、バンド幅が、原子間隔に敏感に変化し、ワイヤーを伸ばすとコンダクタンスが増加する現象が見出された。 2.C60フラレンに分子を選択的に付着させたナノ・バドミントン・シャトルコック(中村栄一研究室で合成)の電子状態を解明し、分子付着により、パイ電子系の広がりが遮断され、全く新しい炭素ナノ磁性体が出現することが予測された。 3.近年注目を集めているGaInN半導体について、密度汎関数法を超えるGW近似による電子状態計算を行い、InNのバンド幅は、従来の実験でいわれてきた1.9eVではなく、ごく最近の実験データでしめされつつある、0.5eV程度の大きさであることを明らかにした。 4.Car-Parrinello型の分子動力学法を自由エネルギー分子動力学法に拡張し、SiO2のレーザー照射により、融点以下でもシリコンナノ結晶が出現することを示した。 5.呼吸作用の最終段階を司るシトクローム酸化酵素の電子状態を計算し。蛋白質の電子構造の一般的特徴を明らかにするとともに、内包空間に振幅をもつ特異な状態が存在することを見出した。
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