2004 Fiscal Year Annual Research Report
1nmスケールネオシリコン量子情報デバイス創製に向けたマルチスケール設計・解析
Project/Area Number |
16310097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
水田 博 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (90372458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 俊理 東京工業大学, 量子ナノエレクトロニクス研究センター, 教授 (50126314)
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Keywords | 第一原理計算 / 材料・デバイスシミュレーショ / シリコンナノドット / シリコンナノロッド / 密度汎関数法 / 非平衡量子輸送理論 / シリコンナノデバイス / 量子情報デバイス |
Research Abstract |
LCAO(原子軌道の線型結合)をベースとした密度汎関数法第一原理計算SIESTAを用いて、シリコンナノ構造(ナノドット・ナノロッド)の電子状態設計・解析技術の構築を行った。単体のシリコンナノドットについては、直径サブ3nmの領域で表面を水素終端したナノドットの電子状態の解析を行い、直径1nm近傍での4種類の安定結晶構造を見出すとともに、それぞれの構造で、量子サイズ効果によるバンドギャップの直径依存性が異なることを見いだした。特に正二十面体構造に関しては構造の対称性が高く、マクロ原子のような離散的エネルギー構造を示すことを明らかにした。次に、このシリコンナノドット2個の結合系を利用して、量子コンピュータの基本構成単位である量子ビットを構成する可能性を検討した。上述の正二十面体シリコンナノドットの2結合系の電子状態の計算を行い、初めてドット間の相互干渉による準分子状態の観測に成功した。また結合状態-反結合状態間エネルギー差が、ドット間距離、またその相対的な位置関係に大きく依存し、ドット間を酸素原子などで架橋することで、より大きな分離がおこることを見出した。 また、シリコンナノロッド素子については、ナノロッドをチャネルとする極限構造シリコントランジスタの電気特性を予測・解析するため、SIESTAと非平衡グリーン関数法による量子輸送計算を組み合わせたTranSIESTAを導入し、金ナノ電極(111)に水素終端されたナノロッドが挟まれた素子構造での透過係数、状態密度、I-V特性等、量子輸送特性を評価した。その結果、ナノロッドの長さが1nm以下になると、系全体が半導体的性質から金属的性質を強めることを示唆する結果が得られた。また、ナノロッドトランジスタの3端子電気特性を初めて計算し、アンビポーラ的な振る舞いを予測することに成功した。
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Research Products
(4 results)