2006 Fiscal Year Annual Research Report
大規模離散最適化問題の劣モジュラ的構造に基づく解析と高速アルゴリズム開発
Project/Area Number |
16310111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤重 悟 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (10092321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 明久 慶応大学, 理工学部, 教授 (50217189)
牧野 和久 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 助教授 (60294162)
平井 広志 京都大学, 数理解析研究所, 助手 (20378962)
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Keywords | 離散最適化 / アルゴリズム / 劣モジュラ関数 / 組合せ最適化 / 数理計画 |
Research Abstract |
平成18年度の研究に関わる主な研究成果は以下の通りである。 (1)離散凹効用関数をもつ2部安定マッチングモデルを考察し、安定解の存在を構成的に証明した。この提案したモデルはこれまでの既存の安定マッチングモデルや割り当てゲームなど広範なモデルを含む。このモデルにさらに、有界な手付けが存在する場合の安定マッチングモデルに拡張しても安定解が存在することを構成的に示した。 (2)各枝に移動時間と容量が与えられている木状動的ネットワーク上での最速フロー問題の研究を行った。この問題は,木構造ネットワークにおける動的フローと施設配置問題を複合したもので,木構造ネットワークにおける1-センター問題の動的フロー版として考えることができる。成果としては,動的に構造変更が可能な平衡2分木である区間木を用いたO(nlog^2n1)時間アルゴリズムを開発した(ただし、nは節点数)。 (3)辺容量関数をもつグラフが与えられたとき、各点からの連結度要求を満たすような最小コストの点集合を求めるソース配置問題を考察した。まず、未解決問題として残されていた無向ネットワークの辺連結度要求に対するソース配置問題が強NP-困難であることを示した。また、自然な仮定の下で、ソース配置問題が多項式時間でln D-近似不可能であることも示した。ただし、Dは要求量の総和である。さらに、拡張されたソース配置問題に対する多項式時間(1+ln D)-近似アルゴリズムを開発した。 (4)ネットワーク設計問題の自然な拡張として最小横断問題を考察した。正モジュラ関数と模調関数に対して極小な不足集合族が木ハイパーグラフとなることを示し、その逆も成立することを示した。さらに、この構造的な特徴付けを用いることで、ある妥当な仮定の下で、最小横断問題に対する多項式時間アルゴリズムを開発した。また、このアルゴリズムを用いることで無向ネットワークにおける外部ネットワーク問題も効率的に解けることを示した。 (5)劣モジュラ集合関数を{0,1,-1}-ベクトル集合上に拡張した双劣モジュラ関数の最小化問題の組合せ的多項式時間アルゴリズムが未解決であったが、その弱多項式時間アルゴリズムおよび強多項式時間アルゴリズムを開発した。
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