2006 Fiscal Year Annual Research Report
動物遺伝子の機能発現に適した新規翻訳系の開発:リボソーム機能工学の利用
Project/Area Number |
16310139
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
内海 利男 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50143764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 隆臣 信州大学, 繊維学部, 助手 (90362110)
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Keywords | リボソーム / タンパク質合成 / GTPaseセンター / L12 / IRES / L11 / PO / P1 / P2 |
Research Abstract |
動物細胞タンパク質を網羅的に合成し、それらの機能を解析するためには既存のタンパク質合成系に加え、多様なタンパク質の性質に対応した、様々な合成系を準備する必要がある。本研究ではタンパク質合成系の"駆動部"となるリボソームGTPaseセンターとmRNAに焦点をあて、これらの分子工学的改変により有用なタンパク質合成系を作成するのが最終日標である。平成18年度は、以下のような成果があった。 1)リボソームGTPaseセンターの一部のタンパク質であるL11を含まない大腸菌株AM68に、植物アミラーゼや動物翻訳伸長因子eEFlA等の不溶化しやすいタンパク質の遺伝子を導入し、発現させたところ可溶性画分よりこれらタンパク質産物が得られた。この大腸菌株は生育速度が野生株の1/4-1/5であり、この効果はタンパク質合成速度の低下によると考えられた。このAM68を用いたタンパク質発現法は、良質タンパク質を大腸菌により産出する有効な方法として特許出願中である。 2)真核や真正細菌のほとんどで、リボソームGTPaseセンターにはL12二量体タンパク質が2個存在することが知られているが、古細菌では3個のL12二量体タンパク質が存在することが証明Iされた。 3)一部の昆虫ウイルス(PSIV)のIRESはリボソームと直接結合し、翻訳開始因子非依存的に翻訳を開始させる。この分子機構を解明し、効率的なタンパク質合成系の作成を目的とし、生化学的解析を行った。その結果、リボソーム上のIRES結合部位とそれによるリボソームの構造、機能面の変化が明らかにされた。その他、IRESの下流にルシフェラーゼ遺伝子を連結した発現レポーター遺伝子を用い、200ヌクレオチドより成るウイルスRNAの3'-UTR配列がIRES依存の翻訳効率を大きく促進することが明らかにされた。
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Research Products
(6 results)