2006 Fiscal Year Annual Research Report
RNA干渉作用を利用したBSE原因遺伝子ノックダウンウシの作出
Project/Area Number |
16310140
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
音井 威重 山口大学, 大学院連合獣医学研究科, 教授 (30311814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 芳実 山口大学, 農学部, 教授 (40115514)
須藤 鎮世 就実大学, 薬学部, 教授 (80368696)
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Keywords | 牛海綿状脳症 / プリオン遺伝子 / RNA干渉作用 / プリオン蛋白 / siRNA / クローン動物 |
Research Abstract |
本研究は、RNA干渉作用を利用することにより、プリオン蛋白の形成が無く、BSEを発症しない牛の作出を目的とする。研究3年度目は、siRNAベクターを導入したクローン胚から作出した子牛の脳における遺伝子発現およびプリオン蛋白量について検討した。 ウシのPRNPを標的としたsiRNA発現ベクターを構築し、ウシの培養細胞に遺伝子導入後、体細胞クローン技術を活用して、トランスジェニックウシを作出した。出生子牛の大脳においてRNA干渉作用により、わずかながらPrP^Cが低下する可能性が見出された。しかしながら、延髄、脊髄等の組織において、確実かつ顕著にPrP^C産生量の低下が認められたとは言い難く、また高率(83%、5/6)に死流産が発生する結果となった。出生した子牛において、導入マーカーとして利用した蛍光タンパク質EGFPは大脳、小脳、脊髄等、全組織で緑色の蛍光発現が観察された。さらに、各組織の抽出DNAから、挿入したsiRNA発現ベクターのゲノムをPCRにより確認した。一方、死流産胎児5例においても、全例に蛍光タンパク質EGFPの発現を確認し、3例においては、siRNA発現ベクターのゲノムへの挿入を検出した。特に、siRNA発現のために利用した2種類のプロモーター(ヒトtRNAおよびU6プロモーター)を比較した場合、ゲノムに導入されたsiRNA発現ベクターは4例ともすべてtRNAプロモーターを有するものであった。しかしながら、生まれた子牛の脳、脊髄等においてsiRNAの抑制効果は所期の目的を達するには到らなかった。その原因として、(1)標的となる配列が至適でなかった、(2)導入された染色体上の位置が悪く、siRNAの発現が不十分であったなどの原因が考えられた。
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Research Products
(4 results)