2004 Fiscal Year Annual Research Report
β-グリコシルアミジン誘導体をツールとする植物グリコシダーゼの生物有機化学的研究
Project/Area Number |
16310152
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平竹 潤 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80199075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 正治 京都大学, 化学研究所, 助手 (60303898)
清水 文一 京都大学, 化学研究所, 助手 (50324695)
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Keywords | β-グリコシルアミジン誘導体 / β-グリコシダーゼ阻害剤 / 基質アナログ / グリコン基質特異性 / 静電的相互作用 / アフィニティーリガンド / family 20 β-N-acetylglucosaminidase / 中間体アナログ |
Research Abstract |
本年度は、アグリコン部をベンジル基に固定し、グリコン部にグルコース、ガラクトース、キシロース、N-アセチルグルコサミンの構造をもつそれぞれのβ-グリコシルアミジン誘導体を4種類合成した。また、アミジン誘導体の構造類似体で、正電荷を持たないそれぞれのβ-グリコシルアミドを4種類合成した。これらの化合物の細胞透過性を高めるために、、それぞれの糖の水酸基をアセチル基で保護したβ-グリコシルアミジンアセチル体を4種類、およびβ-グリコシルアミドアセチル体を4種類の、合計16種類の化合物を合成した。また、GH family20に属するβ-N-アセチルグルコサミニダーゼ(NAG)の中間体アナログとしてα-glucopyranoimidazolinesを合成し、本化合物がNAGの特異的阻害剤として強い阻害活性と選択性をもつことを明らかにした。 一方、β-グリコシルアミジン誘導体がどのようなメカニズムでグリコシダーゼを阻害しているのかを明らかにするため、β-グルコシルアミジン誘導体を結晶化し、X線結晶構造解析に供した。その結果、本化合物は、基質ときわめて類似した^4C_1のイス形コンフォメーションを取っていることがわかった。また、酵素活性のpH依存性およびβ-グルコシルアミジン誘導体による阻害のpH依存性を調べ、両者を比較したところ、β-グルコシルアミジン誘導体は、酵素の活性中心にある触媒残基のうち、酸-塩基触媒として作用するGluあるいはAsp残基と静電的相互作用により結合、酵素を阻害することがわかった。すなわち、β-グリコシルアミジン誘導体は、基質アナログとして、酵素の基質特異性に応じた高い選択性で酵素と相互作用し、酵素の酸-塩基触媒残基と静電的相互作用することにより強い阻害作用をあらわす阻害剤であることが判明した。この事実をもとに、酵素と阻害剤との静電的相互作用を制御することにより酵素の吸着、脱着を制御する「合理的な」アフィニティークロマト法を開発した。すなわち、酵素の酸-塩基触媒(GluあるいはAspのカルボキシ基)が解離する高pH条件下で酵素を吸着させ、不要なタンパク質を洗い流したあと、pHを下げることにより酵素の酸-塩基触媒をプロトン化することによって静電的相互作用を弱め、酵素を溶出させる新しいアフィニティークロマト法を確立した。この方法により、β-プリメベロシルアミジンをリガンドとするアフィニティー吸着体を用いて、茶葉由来のβ-プリメベロシダーゼを電気泳動に単一のバンドを与えるまでに精製し、また、β-ガラクトシルアミジンをリガンドとするアフィニティー吸着体により、物性のきわめて類似した多数のグリコシダーゼを含む粗セルラーゼ製剤から、β-ガラクトシダーゼのみを、ワンステップで精製することに成功した。
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Research Products
(2 results)