2006 Fiscal Year Annual Research Report
βグリコシルアミジン誘導体をツールとする植物グリコシダーゼの生物有機化学的研究
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16310152
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平竹 潤 京都大学, 化学研究所, 助教授 (80199075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 正治 京都大学, 化学研究所, 助手 (60303898)
清水 文一 京都大学, 化学研究所, 助手 (50324695)
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Keywords | β-グリコシルアミジン誘導体 / β-グリコシダーゼ阻害剤 / グリコン基質特異性 / 二糖配糖体特異的グリコシダーゼ / アフィニティー精製 / X線結晶構造解析 / 基質アナログリガンド / 二糖配糖体認識機構 |
Research Abstract |
本年度は、β-ガラクトシルアミジンをリガンドとするアフィニティー吸着体を作成し、β-プリメベロシダーゼ様の基質特異性を示すグリコシダーゼを微生物より単離することに成功した。通常の方法では除去できない微量の夾雑酵素のβ-ガラクトシダーゼを、本アフィニティークロマトで完全に除去し、目的酵素を効率よく単離・精製する手法を確立し、酵素のグリコン基質特異性に対応したβ-グリコシルアミジン誘導体を用いるアフィニティー吸着体の有用性を確認した。さらに、グリコン部にβ-N-アセチルグルコサミンの構造をもつβ-グリコシルアミジン誘導体を効率よく大量に合成する手法を確立し、これをリガンドとするアフィニティー吸着体を大量合成(70mL)し、これを用いて、昆虫細胞に特徴的なN-グリカン糖鎖の生合成に関わる鍵酵素、β-N-アセチルヘキソサミニダーゼを効率よくアフィニティー精製することに成功した。本酵素はバグリカン糖鎖末端のN-アセチルグルコサミンを選択的に切断する酵素で、ホ乳類のリソソームβ-N-アセチルヘキソサミニダーゼのorthologであった。一方、昨年度に開発したpH可変アフィニティークロマト法で高純度に精製したβ-プリメベロシダーゼの構造解析のリファインメントを進めたところ、最終的に1.8Åの分解能で酵素の立体構造が解明された。リガンドであるβ-プリメベロシルアミジンの結合様式から、還元末端のグルコース部分は半いす形のコンフォーメーションを取っており、酵素が基質であるβ-プリメベロシドを加水分解する際、立体電子的要請により結合を切れやすくするsubstrate distortionの形をとらえることに成功した。また、非還元末端のβ-xylosyl部分を認識するアミノ酸残基が特定され、本酵素が二糖であるβ-プリメベロシドに対して高い基質特異性を示す構造基盤の全貌が明らかになった。
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Research Products
(3 results)