2006 Fiscal Year Annual Research Report
カルト問題と社会秩序-公共性の構築に関わる比較社会論的検討-
Project/Area Number |
16320010
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
櫻井 義秀 北海道大学, 大学院文学研究科, 教授 (50196135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 博 北海学園大学, 人文学部, 教授 (30000607)
渡辺 学 南山大学, 総合政策学部, 教授 (20192817)
ロバート キサラ 南山大学, 人文学部, 教授 (80278308)
弓山 達也 大正大学, 人間学部, 教授 (40311998)
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Keywords | カルト問題 / 統一教会 / 社会秩序 / カルト問題研究プロジャクト / オウム真理教 / 摂理 / セラピー社会 / スピリチュアリティ |
Research Abstract |
カルト問題と文化や社会規範を含めた社会秩序の比較社会学的な考察には、文化や社会にかかわる広範な背景的知識を必要とするため、カルト問題とその周辺まで含めた調査研究を行った。本研究実施期間中に行えた調査はごく限られたものであるが、日本のカルト問題研究においては最高水準の研究成果を達成し得たものと考えている。詳細は科研報告書を参照されたいが、概要は下記の通りである。 (1)研究代表者の櫻井は、広く欧米と日本のカルト問題研究の傾向やカルト批判組織の調査を行った。 (2)研究協力者の中西尋子が統一教会に関わる韓国と日本の報道の比較を行った。 (3)研究分担社の渡辺学は、教団を遍歴する信者が脱会カウンセリングという専門家・家族による介入行為をどのように認識し、受容/批判しているのかを詳細に調査した。 (4)研究協力者の渡辺太は脱会カウンセリング(信者を教団の外へ連れ出す行為)と引きこもり青年の社会復帰を対応させて、介入行為の正当性、社会復帰とはそもそも何であるのかを考察した。 (5)研究協力者の小池靖は、現代の自己決定・自己責任の規律が、自己決定を阻害されたことによる被害を主張させる文化を形成していることを包括的に研究した。 (6)研究分担者の土屋博は、宗教文化としてのスピリチュアリティを研究者としての当事者性を再考した。 (7)研究協力者の小柳太郎は、すぴこん(スピリチュアル・コンベンション)を実行委員として参与観察した知見と、シュタイナーの理念に基づいた共同体の調査を行った。 (8)研究協力者の吉野航一は、沖縄の宗教文化に本土から移入された真宗、プロテスタント、立正佼成会、創価学会等がどのようにして定着していったのかを調査した。 (9)研究協力者の永井敬子は、東北の岩木山赤倉のカミサマをめざす女性のライフヒストリーを分析した。 (10)研究協力者の李賢京と寺沢重法は、札幌市におけるキリスト教の諸教会、40教会余の教勢を分析し、教会ごとの現代人の宗教的ニーズへの対応と教会成長の問題を考察した。
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